宇都宮ブレックスが緊急事態を乗り越え、21連勝を飾った。

第2クオーター(Q)残り3分41秒。比江島慎がコートを離れる。第1Qの終盤、相手ゴール下付近で倒れた。ベンチに戻ると左ひざをアイシング。第2Q途中から戦列復帰し、得点もスチールも記録したが、プレー時間3分ほどで再びコートを離れ、試合終了までベンチで試合を見守った。

試合後、佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチは「後半、彼は出られる状態と言っていたけど無理はさせられない。今後については分からない」と話した。大事には至っていない模様だが、ブレックスファンにとっては心配なアクシデントだ。

ただ、今季のチームはけが人が出ても動じない。必然的にプレータイムが増えた渡邉裕規や鵤誠司らが躍動した。渡邉は5本の3ポイント(P)シュートを決め、今季最多の19得点。13得点の鵤はリバウンドも10本獲得し、ダブルダブルを達成した。

「精神的な揺らぎは全くなかった。これまでにも同じような状況があったが、チーム全員で乗り越えてきた」と渡邉。シーズンハイの19得点について「シュートは入っているなあと思ったけど、数字のことは全く頭になかった。僕が出ている間に逆転されるのは嫌だとしか考えていなかった」と振り返った。

鵤も「タフなゲームで課題も残ったけど、レギュラーシーズン最後のブレアリで勝てて良かった」と話した。比江島の状態は気になるところだが、今週末のアウェー北海道戦に向けて「出られない選手がいるかもしれないけど、チームでしっかり対応したい」と前を向いた。

今季はスタメンとベンチメンバーに差がないのが特徴だが、緊急事態ではバックアップメンバーがさらに力を発揮している。佐々ヘッドコーチは「彼らが素晴らしい活躍をしているから勝っているんじゃないですか。ベンチポイントが増えるのはいいこと」と話した。アクシデントが起きても、チーム力や士気が落ちないのが今季のブレックス。この先に待ち受けるタフなゲームを前に、また1つ、チームは結束を固めた。【沢田啓太郎】