「ひょっこりはん!」。世界選手権3連覇中の坂本花織(24=シスメックス)が、とっさの一発ギャグで取材エリアに入ってきた。待ち構えていたのは、銀メダルを獲得した北京五輪団体戦でも一緒に戦った樋口新葉(23=ノエビア)。この日、練習を見学にきていた盟友が取材エリアにいるとわかると、持ち前の明るさで笑わせた後に抱き締め合って祝福。最後にはグータッチで互いの笑顔を重ねた。
樋口は第1戦スケートアメリカでの優勝し、第3戦スケートアメリカで2位に入り、2戦合計で上位6人で争うGPファイナル(12月、フランス)行きを決めたばかりだった。直後にもお祝いの連絡はしていたが、この日の練習後にもスタンドで見つめていた樋口に「おめでとう!」と声をかけていた。
「新葉、激アツ! 燃えるわ!」。同年代の奮闘は最高のカンフル剤だった。第2戦スケートカナダで優勝した坂本も、今大会の結果で2連覇がかかるファイナル行きをかける。2年ぶり3度目の優勝へ、「思う存分滑りたい」と意気込む。
カナダでは優勝したがフリーのジャンプで2度のミスがあった。以降の調整期間では、気づきもあったという。シーズンが進みジャンプの質が上がるにつれて、踏み切った後に「これはいける」と思える場面が増えた。「そう思えると体にそこまで力みがないので、そのままどーんと後ろにこけると、むち打ちみたいになってたみたいで。それが蓄積されていた」。
左肩、首、肩甲骨周りの痛みがたまり、動きが悪くなっていた分、ジャンプの軸がずれていたという。トレーナーとの会話から原因が判明し、「それ次第で変わるんだと気づけてからは、だいぶ良い方向にきてる」と手応えをつかんだ。
開幕直前にもらった同世代からのパワーも力に、世界女王の滑りを日本のファンに届ける。


