社会人アメリカンフットボールXリーグの最上位X1 Superに所属する富士通フロンティアーズが今週末、チーム創設40周年シーズンの第2節ノジマ相模原ライズ戦(14日正午、富士通スタジアム川崎)を迎える。節目を記念し、女子チアリーダー部「フロンティアレッツ」がハーフタイムショーを実施。20周年と30周年で実現した伝説の「オールレッツ」が、再び帰ってくる。
オールレッツとは、アメフト部の周年に合わせた10年に1度のドリームチームで、これまで2005年と15年に結成。今回が通算3度目の実現となる。
フロンティアレッツの元キャプテンで22年に現役引退、現在はスタッフとして後進育成やマネジメントに携わる山岸亜未さんは「20周年、30周年と10年おきに記念イベントを行った際、大好評だったと聞きましたので、今年も40周年記念ということで、盛大に盛り上げていけたら」と仕上げの段階に入っている。
「今回もOGの皆さんにお声掛けしました。日程が合わなくて参加がかなわない方もいらっしゃったんですけど、それでも54人もの方々が出演してくださることになりました。やっぱり『フロンティアレッツとして活動できるよ』『もう1回、フィールドに立てるよ』ということで、これだけの人数が集まるくらいオールレッツは特別なものなのかな、とすごく感じています。現役メンバーにも、OGの皆さんが築き上げてくださったものを、感じてもらえるような機会にできたらいいなと思います」
現役メンバー17人も含めた総勢71人によるパフォーマンス。OGで現在はチームアドバイザーを務める田上由美子さんも、心待ちにする。
「1回目の20周年は東京ドームでやりまして、当時は40人ぐらい。2回目の30周年が50人ぐらいでした。2回とも出演させていただきましたが、周年ごとにレベルが上がってパワーアップしていて。2回目は、台(演舞のグループ)ごとに3パターンに分けて代表曲を踊ってもらったり。今回も、時間は1回目の倍ぐらいに。みんな、ものすごく楽しみにしています。1年ぐらい前からOG向けの配信メールで『また10周年やるよ』『心と体の準備をしてきてね』と告知してきましたので。少しずつ絞ってきたり、ダンスを習い直したりしながら、それぞれが当日を迎える感じですね」
アメフト部は1985年(昭60)創部。30年目の2014年(平26)に初の日本一に輝き、日本選手権ライスボウルを16~19年度に4連覇した(史上最多タイ)。21~23年度も3連覇を遂げた常勝軍団だが、チアリーダー部の歴史はさらに古い。
1978年(昭53)に富士通サッカー部(現J1川崎フロンターレ)の応援団として、前身のバトントワラー部が設立された。88年にアメフト部が日本社会人リーグの1部に昇格したタイミングを機に、アメフトの応援を開始。翌89年に富士通チアリーダー部へ改名した。
こちらも創部以来、全員が富士通グループ社員。現在の17人も精鋭で、毎年30人前後、多い年で50人ほどの応募から、パフォーマンスや人間性が問われるセレクションで2、3人しか合格できない。大学でチアリーディングやダンスを学び日本一も経験しているような社員が狭き門を突破し、川崎Fや女子バスケットボール部のレッドウェーブなどを応援。平日2回と休日1回の週3回、フルタイムの業務と並行して練習を重ねており、試合本番やチア教室など地域貢献も含めれば、社会人生活の大半を献身し、勝利の女神になる日々を送っている。
同社の企業スポーツ推進室長で、女子チアリーダー部長も兼ねるのは常盤真也氏。アメフト部の選手、コーチを経て、現在はゼネラルマネジャー(GM)職も務める。「全員社員のチアリーダー部を企業として持って、採用もして、自社チームの応援をしているのは今、当社くらいではないでしょうか」と誇りにする。
8月に、ラグビーのリーグワン2部NECグリーンロケッツ東葛を運営するNECが撤退を発表。日本一3度の名門だっただけに衝撃が走った。一時のラッシュからは落ち着いたとはいえ、まだ大企業がスポーツを手放す時代に、ますます富士通は力を入れる。常盤氏は「我々にとってスポーツは文化。経営陣も含めて重要なセット。マテリアリティ(組織が優先して取り組む重要課題)の必要不可欠な貢献分野(13項目)にスポーツが入っているくらいで、さらなる活発化を目指しているところ。その中の1つがチアなんです」と愛を込めた。
試合当日の14日は、選手着用のサイン入りユニホームが抽選で当たる「目指せピタリ!得点予想クイズ」や、創部40周年記念のフロンティアーズ検定「フロン検」などイベント盛りだくさん。にぎわいを創出する中、やはり目玉はハーフタイムショーになる。
山岸さんは「振り付けの動画を皆さんに配信して練習を進めていただいたり、フォーメーションも、こちらで決めたものを各自、落とし込んでいただいたり。本番に向けた全体練習も行って、振りや位置の確認をしたり。加えて、自主練習の時間も設けて細かい部分を本番に向けて仕上げて参りました」。準備万全だ。
毎試合の企画として、試合開始20分前(午前11時40分ごろ)から応援練習があり、来場者だけに応援レクチャーのチラシが配布される。さらに当日限定で、歴代フロンティアレッツの写真ギャラリーも設置。78年の創部から47年間のチアリーダー写真が展示される。過去のユニホーム、今では見られなくなったバトントワリングなど懐かしい写真が楽しめる。
アメフトの試合自体も、昨年はノジマに先手を許しながら、富士通が後半に逆転して地力の差を見せつけたカード。勝利の興奮はもちろん、常盤氏はハーフタイムの盛り上がりを確信している。
「8月上旬に決起集会を開いたんですが、初期メンバーも含めたOGの方々、ものすごく気合が入っていましたね。チアリーディングって、本当に魅力的な競技なんだなと。久々に活動できることに相当モチベーションを感じていらっしゃる、お姉さま方がたくさんいらっしゃいましたから(笑い)」
田上さんも「昔、一緒に頑張った仲間たちは、結婚して、お子さんがいても、人柄は20年、30年たっても変わっていませんでした。当時に戻って、本当に楽しく同窓会気分で過ごさせていただきましたが、練習は本気で。50人を超えるOGが週に1、2回の厳しい試練、自主トレを乗り越えてきました。後輩から『違うよ』って怒られ、先輩なのに教えていただきながら、ここまで来ました。貴重な時間で、とっても楽しく練習に取り組めました。10年に1度のスペシャルパフォーマンス、ぜひお楽しみください!」と呼びかけた。
今週は3年ぶりの皆既月食が観測されたが、オールレッツが見られるのは、今回14日の次は、また10年後になる。見逃せない。【木下淳】
◆Fujitsu Sports 陸上競技部、女子バスケ部も有名で、陸上は92年バルセロナ五輪から9大会連続で日本代表選手を輩出。21年東京大会に8選手、24年パリ五輪に5選手を送り込んだ。女子バスケも05~07年土に全日本選手権(皇后杯)を3連覇。23-24年には16季ぶりにWリーグを制覇した。東京、パリの両五輪でも3人ずつ代表に選ばれている。一般運動部として男子バレーボール、男子バスケ部、水泳部、ゴルフ部、馬術部、明石工場バレー部も活動中。陸上部の活動拠点が、千葉市から本社機能がある川崎市に移転し、他部と集約することも発表されている。


