北京五輪短距離3冠のウサイン・ボルト(22)が朝原の功績に敬意を表した。「彼のことは良く知っている。素晴らしい選手だ。私が36歳まで続けることは難しい。能力が続く限り、全身全霊をかけて続けたいと思う」。引退セレモニーでは、花束を贈呈し、労をねぎらった。

 ジャマイカからパリを経由し、午前6時31分に成田空港に到着。途中、ホテルで静養したが、午後0時半から、子供たちのレースのスターターを務めた。一緒に走って観客をどよめかせ、バックスタンドとメーンスタンドで1度ずつ、北京五輪でも見せた弓を引くポーズで場内を沸かせた。

 ボルト

 あのポーズの原形は、ジャマイカのダンスです。ジャマイカから世界へ飛んでいけという意味なんだ。名付けるなら?

 ライトニング・ボルト(稲妻)だね。

 電光石火の走りで、北京五輪は100メートル、200メートル、400メートルリレーのすべてを世界新で制した。速さの秘密は何か?

 ボルト

 昨季、日本での世界選手権は成績が良くなかった。努力しなければいけないと思い、努力を積んできた結果だと思う。

 父ウェルズリーさんは「子供のころから食べている大好物のヤムイモが、速く走れる秘密」と言う。

 ボルト

 子供の時は良く食べた。ヤムイモのパワーもあったかもしれないけど、私の強さの源は、ひたむきな気持ちだと思う。

 まじめに語ったかと思えば、会見中に通訳の後ろからVサインをしておどけるなど、硬軟自在なキャラは健在。日本滞在は24時間の慌ただしさだったが、眠気も見せずにプロの仕事をやり遂げた。【佐々木一郎】