<世界体操>◇7日目◇13日◇東京体育館

 12年ロンドン五輪に向け、田中理恵(24=日体大大学院)が変身を誓った。今大会最後の演技となった個人総合決勝で、床運動で手をつくなど、細かいミスが出て合計54・699点で20位に終わった。今後はロンドンに向け、さらに美しさと体づくりを磨くことを強調した。

 最後の段違い平行棒で着地が決まると、田中は持ち前の最高の笑顔を見せた。父章二さん(61)、母誠子さん(50)が見守る中で、最後の演技を精いっぱい戦った。しかし今大会は床運動で手をついたり、思わぬ細かなミスが続き「率直な気持ちは悔しいです」と、力を出し切れなかったことを悔やんだ。

 この日も「いつもならミスしない」後方2回宙返りで手をついた。普段ならミスしないだけに「もっとひとつひとつのことを、きちんと練習していかないとダメ」。ただ「全部、思い切ってやりました」と、最後の演技にすべてをぶつけた。

 前日の男子団体総合決勝で、弟の佑典が鉄棒から落下。テレビ観戦していた理恵に「やってしまった。個人総合、頑張って」とメールが届いた。「明日は何も考えずに楽しむね」と返信した。田中3きょうだいにとって、種目別で和仁の平行棒、鉄棒の佑典が残るだけだ。

 12年ロンドン五輪に向け、早くも気持ちを切り替えている。「さらに強くなりたいと思う。変身して帰ってきたい」。ロンドンへの道はまだ半ば。さなぎからチョウに変身し、今度こそ、理恵がロンドンの自身初の五輪で華麗に舞う。【吉松忠弘】