<ラグビー:全国大学選手権:明大20-19慶大>◇2次リーグ◇15日◇東京・秩父宮ラグビー場

 12度の優勝を誇る古豪・明大(関東対抗戦5位)が、10年度以来3季ぶりの国立に王手をかけた。C組で、慶大(同3位)に前半10-12から、後半PGで逆転。同31分にはプロップ須藤元樹(2年)のトライで突き放し20-19の1点差で逃げ切った。通算2勝目で勝ち点11とし、同組の首位に立った。次戦の立命大に勝てば、1月2日の準決勝(国立)進出が決まる。昨年準優勝の筑波大(同4位)も2勝目を挙げた。

 明大の紫紺のジャージーが、必死で慶大に食らいつく。すでに試合終了のホーンは鳴った。わずか1点差。約2分の慶大の反撃をこらえると、明大フィフティーンは、思わず跳び上がった。丹羽監督は「今日はとにかく勝てばいい」。大きな2勝目で国立に1歩、前進した。

 開始10分に慶大のWTB服部に先制トライを許すなど、前半は受け身に回った。10-12で折り返した後半22分、PGでようやく逆転。同31分、敵陣5メートルラインでのFW戦からプロップ須藤元樹(2年)が抜け出し、ゴール左横にトライ。ゴールも決まって突き放した。

 対抗戦は5戦目の慶大に敗れ、優勝への可能性がなくなった。対抗戦5位とギリギリでの大学選手権出場で、須藤は「今回は慶大には絶対に負けられない」。ウオームアップの時から打倒慶応に気迫満々で、その思いをトライにつなげた。伝統のFW戦も復活した。後半10分すぎから、敵陣5メートルラインでFW戦を仕掛けた。約3分の攻防。最後は明大の反則でトライにつながらなかったが、須藤は「今年はFWにこだわっている」。飽くなき勝負への執着心が、試合の流れを呼び込んだ。

 元格闘家の須藤元気と1字違い。「よく言われるんです」。小学生から空手道場に通い、週末のラグビーと平日の空手の二刀流。国学院久我山高1年で黒帯となったが「ラグビーの面白さにはまった」と、空手をあきらめた。しかし「足腰が鍛えられた」と、空手仕込みのトライで明大を救った。

 この1勝で、C組首位に立った。まだ最下位の立命大にもチャンスが残る大混戦だが、22日の立命大戦に勝てば3季ぶりの4強入りが決まる。須藤は「最終目標は学生日本一。明治のスタイルを貫いて勝ちたい」。伝統のFW戦で、関西の雄を粉砕する構えだ。【吉松忠弘】

 ◆須藤元樹

 すどう・げんき。1994年(平6)1月28日、東京都生まれ。小学6年でラグビーを始め、国学院久我山高では2、3年時に花園出場し、2年の時にベスト8。高校日本代表に選ばれ、12年4月に明大に進学した。U20日本代表。175センチ、108キロ。文学部2年