<高校ラグビー:桐蔭学園26-14天理>◇準々決勝◇3日◇花園

 Aシード桐蔭学園(神奈川)が“東の横綱”の貫禄を見せ、初優勝した10年度以来3大会ぶりに準決勝進出した。SO横山陽介主将(3年)の先制トライなどで9分までに12点を先行。Bシード天理(奈良)の攻めを、藤原秀之監督(45)が言う「想定内」の2トライだけに封じ、理詰めで勝ち切った。明日5日はAシード大阪桐蔭(大阪第2)と決勝進出を懸けて対戦する。

 勝利のスコア26-14が、最初から分かっていたような口ぶりだった。桐蔭学園の藤原監督は言う。「天理さんのBK。針の穴を通すような、スローフォワードぎりぎりのパスですから、(トライ)1本は覚悟していた。FWのモールでも(2回戦の)東京戦で2本取った。ウチも1本はやられるだろうと…」。

 前半29分にBKのオープン攻撃でWTBにちぎられて1トライを食った。後半5分には、ラインアウトからモールを押し込まれた。だが、桐蔭学園フィフティーンにその2トライは織り込み済みだった。

 登録メンバー25人の中に、難関大を目指す理数科が8人もいる。高校日本代表候補がFW、BKに4人ずつ計8人もいる。知性と才能の集団は焦らず、騒がずゲームを作った。前半開始早々の2分、相手ゴール前にラックで張り付き、最後は同候補のSO横山主将が先制トライを決めた。

 12-14と逆転された後も、冷静だった。後半13分に平均体重で約8キロ上回るFWでラックを連取し、ロック古川満(3年)がサイドをつき、再逆転トライを決めた。

 「試合中にずっと押し続けているのは、ありえない。流れでプレーを選択できた。修正能力の高さがこのチームにはあります」と横山主将が胸を張る。準決勝進出は、東福岡と優勝を分け合った90回大会以来3大会ぶり7度目だ。藤原監督は「久々のベスト4だし、Aシードの役割は果たせましたかね?」と語る。準決勝は大阪桐蔭とAシード対決。初の単独優勝は視界に入った。【加藤裕一】