ラグビー元日本代表で「空飛ぶウイング」として知られる関西協会の坂田好弘会長(76)が23日、大阪市内で大阪東雇用開発協会新春講演会に講師として出席した。約1時間半にわたり「~ラグビーが教えてくれたこと~『やれ』から『やろう』で組織は変わる!」をテーマに講演した。

12年に日本人初の国際ラグビーボード(現ワールドラグビー)殿堂入りを果たした坂田氏は75年の現役引退後、77~13年までの36年間にわたって大体大の監督を務めた。指導が「やれ」から「やろう」に変わったタイミングは何度かあったという。

「60歳の時にニュージーランドに、指導者として留学したんです。2カ月が経過すると『小学校に行ってこい』と言われ、小学生は『集合!』と言えば、どっかに行ってしまう。それで体も動いたし、一緒にボールを使って、ラグビーをしたんです。大体大に帰ってからは坂の上から練習を見ていたのを、やめた。グラウンドのポールの横に小さな椅子を置いて、選手と一緒の目線で『今のいいプレーだ』と声をかけるようにした。指導者は選手がいるからこそ。その考えが大事だと思います」

うなずきながら聞いていた聴衆には、講演の最後に9月に開幕するW杯日本大会の話題を持ち出した。

「この間、京都でギョーザを食べていました。そうしたら席が空いていなくて、外国人観光客と同席することになりました。『どこから来たの?』と聞いたら、ニュージーランドだった。話がはずんで、お会計は向こうがしてくれた。『これじゃ、アカン』と思って、そのまま自宅に招きました。今も連絡を取り合っています。私がよく使うのは『ラグビー・オープン・メニー・ドアーズ』。ラグビーをきっかけに、たくさんの扉が開きます」

柔らかいエピソードを交え、和気あいあいとした空気の講演会となった。