<大相撲九州場所>◇4日目◇14日◇福岡国際センター

 西前頭15枚目の千代大龍(24=九重)が、バースデー白星で4連勝を決めた。雅山(35)を終始圧倒して全勝をキープだ。今年8月に糖尿病であることを明かしたが、甘い物断ちで病気との付き合い方も覚えた。

 迷いはなかった。千代大龍がひたすら前に出た。もろ手で突きながら雅山を逃がさず、一方的に攻め立てた。4連勝にも涼しい顔で「前に出られた。引かれたところでもついて行けた。体もよく動いている」。3日目には大学時代のライバル常幸龍を圧倒し勢いはさらに増していた。

 24歳の誕生日を飾る白星には「だから勝ちたいとかは考えてなかったですけどね」と照れ笑い。この日の朝には、同じ部屋の幕内千代の国からスカジャンとスエットの上下セットを2組、十両千代鳳からはグッチの財布を贈られた。「いい兄弟弟子に恵まれた。スカジャンのサイズは7L。背中には女性が刀を持ってる刺しゅうがしてある。かわいい柄ですよ」とジョーク交じりで、少年のような笑顔を見せた。

 部屋の夕食では、バースデーケーキは出なかった。8月に告白した糖尿病のためだ。先場所はピーク時の180キロから約30キロ減った体重と、糖尿病特有のだるさとの闘いもあった。「体重はようやく10キロ戻ったくらい。医師からは甘い物以外は好きなだけ食べていい、夜食も問題ないと言われています」。コーラを1日2リットル飲むこともあった。カルピスは原液のままのどに流し込んだ。そんな暴飲暴食をやめた。誕生日は国連が定めた世界糖尿病デーでもある。

 「いつ負けるか分からないし、勝ち越さないと十両に落ちてしまう」と4連勝の話題には謙虚だ。はたきに頼る安易な相撲は消えた。九重親方(元横綱千代の富士)も以前から「能力は底知れぬものがある」という大器が、連勝街道を突き進む。【高橋悟史】