<東京6大学野球:早大3-1東大>◇第2週初日◇19日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)が東大との「開幕戦」に先発し、6回1失点で今季初勝利を挙げた。直球の力強さを求め、最速149キロだった高校時代のフォームに近づける原点回帰をテーマに臨むシーズンで、最速147キロを計測し、8三振中7三振を直球で奪った。104球を投げ5四死球ながら5安打1失点で3-1と先勝した。

 1回1死二塁のピンチで斎藤は迷わず直球を選択した。3番鬼原を内角141キロで見逃し三振、4番堀口は高めのつり球で空振り三振に切った。「真っすぐ自体は良かった。一番いいわけじゃないけど、ずっと強化しようとし取り組んできた」と手応えはある。

 2回にはこの日最速の147キロをマークした。8三振中、7三振を直球で奪った。大学入学後に多投するツーシームは5球ほどに抑えた。「ツーシームを使う必要はなかった。基本は真っすぐとスライダー」と原点に返った。ただ、23季連続最下位の東大に5四死球を与え、入学後初失点を献上した。6回1失点で降板し、「変化球のコントロールが良くなかった」と反省は忘れない。

 「あの夏」の輝きを取り戻すことが、今季のテーマだ。最速149キロで日本一に輝いた06年夏。4勝を挙げた今春は「フォームがバラバラだった」と振り返る。見ることが少なかった高校時代のビデオを、スローモーションで繰り返した。「戻すのではなくて、今日までいろいろ悩んで、また新しいフォームを見つけたという意識」と説明する。歩幅を7歩から6歩半に戻し、全身の力がボールに伝わるように工夫を続ける。

 8月中、早大でも「部員の2割ぐらい」(応武監督)と新型インフルエンザが流行したが、斎藤は感染していない。寮の自室には空気清浄器を常備し、ハイテク掃除機で清潔に保つ。さらに今春「マイミキサー」を購入。毎朝バナナと牛乳、プロテインを混ぜた「佑ちゃんジュース」をゴクリと飲み干し、体調管理は万全だ。

 今夏は日米大学野球選手権、ハワイ遠征と試合が続いた。帰国後は50メートル走100本など、下半身をいじめ抜いてきた。来年はプロ入りがかかる4年生になる。「自分がレベルアップすることが、勝利につながればいい」と話す。大学ラストイヤーに向けて、3年秋の課題に全力で取り組んでいく。【前田祐輔】