<関西学生野球:立命大4-0同大>◇第9節3日目◇27日◇わかさ

 立命大が勝ち点4の完全優勝で、2季ぶり32度目のリーグ制覇を果たした。渋谷竜平(3年=済美)が同大を4安打完封し、4-0の快勝。阪神が外れ1位候補に挙げるエース藤原正典(4年=県岐阜商)は登板しなかったが、後輩の快投に号泣した。上内辰哉内野手(4年=立命館宇治)が4割8分7厘(39打数19安打)で首位打者に輝き、最優秀選手賞を初受賞。立命大は明治神宮野球大会(11月14日開幕)出場をかけ、11月1日開幕の関西地区代表決定戦(南港中央)に臨む。

 ベンチを飛び出す立命大ナインから、エースは1歩も2歩も出遅れた。「優勝したらこう飛びだそうといろんなパターンを考えていたんです。でも涙で視界がぼやけて、どれも当てはまりませんでした」。藤原正はチームの最後にマウンドにできた輪にたどり着き、4年間苦労をともにしてきた佐藤捕手と抱き合った。

 優勝に王手をかけた学生最後のリーグ戦。登板はなかった。負ければ同大とプレーオフとなる決戦で、渋谷が4安打完封。ブルペンで出番に備えながら、藤原正はマウンドの後輩に心の中で声援を送った。渋谷は昨年12月に右ひざを痛め、今春リーグ戦に間に合わなかった。大ケガを乗り越えた後輩の活躍を、投手陣のリーダーとして喜んだ。「僕自身左肩を痛め、苦しかった。渋谷が活躍してくれて本当にうれしかった」。人を思いやれるエースだった。

 大学通算16勝4敗。2回目のリーグ最優秀投手賞とベストナインを手に、29日のドラフトを待つ。「プロは自分の夢の世界。自信を持って挑戦したい。今日と明日は、自分のことを考えて過ごします」。チームを支えたエースから、夢の実現を待つドラフト生になる。【堀まどか】