<社会人野球・日本選手権:日産自動車4-3トヨタ自動車>◇17日◇1回戦◇京セラドーム大阪
今年限りの休部が決まっている日産自動車(神奈川)が、大会史上初の3連覇を狙ったトヨタ自動車(愛知)に4―3で逆転サヨナラ勝ちした。2-3で迎えた9回裏、同点に追いついた後の2死三塁から代打南貴之捕手(28=関学大)の中前適時打で決着した。
南の打球は詰まっていた。それが中前にポトリと落ちる。ベンチから選手が一斉に飛び出し、スタンドから紙テープが投げ込まれた。奇跡的な逆転サヨナラ劇。久保恭久監督(49)は「感動で言葉にならない。センター前に落としたのは日産の執念。魂を揺さぶられた」と興奮した。
あとアウトひとつで部の歴史が終わるところだった。1点を追う9回2死二塁。須田光捕手(29=日大)の打球は二塁手の前に力なく転がった。しかし勝利への執念が乗り移ったか、ボールがグラブからこぼれ、須田は一塁に頭から滑り込んだ。2死一、三塁からは、なんと暴投で同点。そして南の一打につながった。
相手のトヨタ自動車は、今夏の都市対抗準決勝で敗れた相手でもある。今年のドラフトで3人が指名されたエリート集団にして、史上初の3連覇を目指す優勝候補。気持ちを奮い立たせる条件はそろっていた。
昨年の日本選手権は2回戦でヤマハ(静岡)に敗れた。南は最後の打者だった。その時の新聞記事は今も部屋に張ってある。2年越しの悔しさを晴らした。だが野球は今年でやめる。「自分の野球人生とかじゃない。1日でも長く日産でやりたい」と力を込めた。
前日、部の存続を求める約2万5千人の署名が神奈川県野球協会から届けられた。この日のスタンドには「日産野球は終われない」と書かれた横断幕が掲げられた。多くの思いを背中に受け止め、最後の戦いはまだ続く。【亀山泰宏】



