<東京6大学野球:早大3-2立大>◇10日◇神宮

 今秋ドラフトの目玉、早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が最速147キロで、大学ラストイヤーのスタートを切った。立大相手に7回2安打2失点で勝敗は付かなかったが、日米16球団のスカウトに昨秋からの成長を披露した。

 ネット裏に陣取った日米16球団スカウトの前で、斎藤の直球に力強さが戻った。4回までの直球33球中、30球が140キロ以上。145キロ以上が13球を占めた。3勝2敗と苦しんだ昨秋より平均で5キロ程度アップ。「真っすぐの走りは良かった。指にかかっている感じがありました」と手応えを感じた。

 それだけに5回の失投を悔やんだ。4回まで無安打に抑えたが4番岡崎へカウント2-0から144キロが真ん中に入った。「完全に失投」と左翼スタンドに運ばれ先制点を許す。さらに暴投で2点目を失った。敗戦を覚悟したが、最後は松本の犠飛でサヨナラ勝ち。「キャプテンとして、チームが勝つことが一番」と、勝利の瞬間は珍しく小躍りしてベンチを飛び出した。

 主将、エースとして迎えた最後の春。大リーグはレイズ、アストロズなど4球団が集結した。マリナーズ山本スカウトは「昨年より躍動感がある。本人が(米国に)来たいと言えばもちろん調査する」と熱視線を送った。

 スタンドには隣接する神宮第2で都大会を終えた早実・和泉監督の姿があった。大学最終年を前に受け取った年賀状には、いつもより長めのメッセージが書かれてあったという。その恩師の前で、岡崎の次打席は新球カットボールで空振り三振に切った。「昨年の悪いイメージは忘れようと思っても残っていた」と言う中、勝利が何よりの自信になった。【前田祐輔】