日刊スポーツ評論家の里崎智也氏が1日、古巣ロッテの沖縄・石垣島キャンプを訪れ、紅白戦を視察した。

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キャンプ初日から紅白戦を行ったロッテのドラフト1位コンビは、良い形で内容が残せていた。

8回に代打で出た今年のドラ1藤原恭大は、打ちにいきながらボール球をしっかり見逃した。四球になったというより、四球を取ったという表現が適切。新人らしからぬ姿を見せた。昨年の1位安田尚憲も4打数無安打だったが、一直など打席内容は良かった。チームとして明るい材料でスタートを切れた。

2月1日に試合をすることは悪いことではない。ただ、その必要性や意図が、全員で共有できていないように感じた。ポジションの確約がない選手や、1軍の当落線上メンバーからは何とかしようという姿勢が伝わった。だが絶対的な主力は、心の中で開幕に合わせればいいと思っているから、打とうが打てまいが調整の一環。悲壮感はない。

この時期の実戦は投手が圧倒的に有利だ。打者は球の見え方や体感速度にブランクがある。そんな中で失点したのは1軍当確であろう松永や益田。松永は全部真っすぐを投げて2ランを打たれた。本塁打したのは角中や井上、中村ではなく、当落線上の高浜と清田だった。1、2軍の振り分けに関わるとはいえ、安泰組と、レギュラーを狙う組の温度差が感じられる紅白戦だった。競争をうたうなら、もう少し意図を明確にして、モチベーションを統一したほうが良かったのではないか。

レギュラーを狙う選手や、若手がアピールするには紅白戦は大事な場だ。熱量の高かったメンバーの雰囲気は、チームの課題でもある選手層の強化、底上げにつながっていく。これを継続してやっていけるかどうかが今後のキャンプ、オープン戦に向けてのロッテの課題といえる。(日刊スポーツ評論家)