阪神ファンからすれば、なんとも後味の悪い試合だったのではないか。開幕投手の西勇が1本塁打を含む2打数2安打2打点で6イニングを1失点の好投。しかし試合は継投が失敗しての逆転負けだった。

評論をして難しいのが、継投を語るときだと思っている。勝ち試合に投げる投手が、打たれたとしても「仕方がない」と割り切らなくてはいけない試合があるからだ。この試合の西勇のピッチングを見る限り、続投させていた方が勝つ確率は上がっただろう。しかし、長いシーズンを考えれば、エースに負担をかけたくないという考えもある。さらに勝ち試合を任せるリリーフにも明確な働き場所を与え、モチベーションを高めておきたいという思いもあっただろう。

頭ごなしに批判するつもりはない。しかしこの試合が開幕戦だと考えると、やはり失敗だった。まず、開幕戦で投げるのは、チームのエース。しかもその西勇が2度の勝ち越し長打を放つなど、投打に“イケイケ”のムードが漂っていた。球数は97球で、もう1イニングは投げられそうだし、リリーフする投手にはプレッシャーがかかる。リリーフした岩崎もいい投手だとは思うが、このような試合展開でみんなが納得して投げられるほどの実績も経験もない。西勇が7回だけでも投げれば、打席の回ってくる8回表は代打を送れるし、リリーフしていい条件は増える。7回からのリリーフには、納得できる理由が少なかった。

今の阪神でノー文句で「打たれても仕方がない」と思って投げさせられるのは藤川ぐらい。負け越した後の8回には新外国人のエドワーズが投げたが、岩崎を投げさせたように勝ち試合のリリーフを予定している投手なら投げさせるべきではなかった。分業制で割り切った選手起用をするのか、あくまで臨機応変に勝ちにこだわって試合を進めていくのか。矢野監督の方針が、よく分からなかった。(日刊スポーツ評論家)