夏の甲子園大会は大会7日目を終え出場49校がすべて出揃った。野球評論家の西本聖氏はNO・1投手に最速151キロをマークし初戦で完封勝利を挙げた作新学院(栃木)今井達也(3年、180センチ、72キロ、右投げ)の名前を迷わず挙げた。

 -ズバリ、今大会NO・1投手は

 西本氏 作新学院の今井君ですね。パーフェクト、完璧です。高校BIG3と呼ばれる3人(横浜・藤平、履正社・寺島、花咲徳栄・高橋昂)と比べても彼が一番いい。

 -最速151キロをマークした

 西本氏 スピードはもちろんフォームが素晴らしい。投手のチェックポイントは(1)軸足でしっかりと立てるか(2)踏み込んだ足が動かないかどうか(3)テークバックの際に腕が後ろに入りすぎていないか(4)グラブを投げる方向にしっかりと出せているかの4点。このすべてを満たしている。とにかくフォームのバランスが良い。無駄な動きがほとんどない。特に肘のしなりと柔らかさ。左打者のインコースにシュート回転することなく完璧に投げ込めていた。すごいよね。

 -体重が72キロとやや線が細いのでは

 西本氏 いやいや、あの細さでも軸がしっかりしている。基本的なことができているから大丈夫。高校生離れしているしプロの一流投手を見ているような感じ。ほれぼれする。

 -プロでも通用するか

 西本氏 即戦力で使えます。直すところのない文句の付けようがないフォーム。プロでもこれだけのフォームで投げられる投手が何人いるか。久々に見ていて釘付けになる投手を見せてもらった。

 -他に気になった投手は

 西本氏 近江(滋賀)の京山将弥投手(3年、183センチ、72キロ、右投げ、初戦敗退も147キロをマーク)ですね。低めにボールを集められていた。あれだけ低めに投げられるということは理にかなった投げ方をしているということ。セットの時に左足をやや開いて投げるところが気になったが非常に魅力を感じた。左投手では堀君(広島新庄)、早川君(木更津総合)も良かった。早川君は春も見たが成長している。大人のピッチングをしている感じがした。派手さはないがフォーム的にも安定しているし将来が楽しみ。

 -京山投手は大学進学を希望している

 西本氏 4年間鍛えるということだろうけど、彼なら4年もしないうちにプロで1軍に出てこられる。ストライクが入るからすぐ登板チャンスをもらえると思う。

 -高校BIG3について

 西本氏 横浜の藤平君は神奈川大会も見たが投げ方も悪くないし素晴らしい。寺島君と高橋昂君は今回初めて見た。寺島君は投げた後に体が三塁側に流れるのが気になった。高橋君は調子が良くなかったのかな。肘が出てこない。全体的にボールが高めに抜けてしまっていた。「すごい、すごい」と言われて見たからかもしれないが、物足りなさを感じてしまった。次戦に期待したいですね。それと152キロを投げた高田君(創志学園)。投球フォームが気になった。力んで体が開いていた。ボールが見やすくなるしバットに当てられるチャンスが生まれてくる。ただ素材的にダメということではないし今後に期待したい。