<オープン戦:日本ハム3-11阪神>◇25日◇名護

 これやがな! 公式戦ならそう叫びたくなる16安打11打点の若虎打線大爆発でオープン戦初戦は圧勝。虎番記者に囲まれる前の一瞬、金本監督に言葉を掛けました。

 「きょうみたいなら糸井はいらんかったね~」

 金本監督はニンマリ笑うだけでしたが、もちろん、シーズンでこんな試合が続くはずもない。宜野座に残ってこの日は守備練習を行ったという糸井の存在がチーム上昇へ大きいのは言うまでもありません。

 そんな糸井について試合前の忙しい中、話してくれたのが日本ハム栗山監督でした。

 旧知の仲なのであいさつした後「故障がなければ嘉男はやりますよ。集中しているときの彼は本当に打ち取れない。今の球界でNO・1ですよ」と断言してくれました。

 技術的なことよりも栗山監督が強調したのが、一見、何を考えているのか分からない風貌の下に持つ糸井の闘争心でした。

 「ウチ相手に一番打っていますから。やっぱり、何か期するところがあるんだと思います」

 13年にオリックスにトレードされ、昨季までの4年間で糸井のパ・リーグ5球団相手に残した打率はこうなります。

 日本ハム 3割4分1厘

 楽天 3割2分

 西武 3割1厘

 ロッテ 2割8分2厘

 ソフトバンク 2割7分8厘

 栗山監督が言うとおり、日本ハム戦でもっともよく打っています。古巣相手に集中力を高めている様子が伝わってくる数字です。今回はFAでの移籍だけに、どこが相手と言うよりも働きすべてに期待がかかっているのは言うまでもありません。あとはコンディションでしょう。

 数日前、宜野座で糸井にあるものをプレゼントしました。日刊スポーツ大阪本社のかつての地元・大阪府豊中市にある「服部天神」のお守りです。ここは日本で唯一の「足の神様」として知られます。

 毎年、イチロー(マーリンズ)に渡しており、今年はまさかの負傷でちょっとびっくりですが、糸井は気持ちよく受け取ってくれました。そして何をしたか。

 「足の神様? そうなんですか」。そう言うと、そのお守りで故障箇所の右膝をすりすりとさすって、ニヤリとしたのです。

 こういうセンス、きらいではありません。早くタテジマでの実戦を見たい気持ちになってきました。