宮城大会が、東北地方の先陣を切って開幕した。開幕試合では仙台と宮城広瀬が対戦。仙台が勝ち、東北一番乗りで勝利を挙げた。公式戦初先発の1年生左腕・佐藤隼輔が、9回10安打3失点ながら9三振を奪う好投で初完投初勝利。期待のルーキーの活躍で2年ぶりの初戦突破を果たした。

 サッカー日本代表・内田篤人似の背番号「18」が、華々しくデビューした。多くの観客が見つめる開幕試合の先発マウンドに上がったのは、今春入学したばかりの佐藤隼。さわやかな笑顔を咲かせる一方で、最速135キロの直球を中心に相手打線をガツガツ攻める。1年生とは思えない堂々としたマウンドさばきを披露し、要所はスライダーで三振。136球を投げ、9奪三振で3失点完投。「直球が入れば打たれないと思っていた。先輩と勝ててうれしい」とちゃめっ気たっぷりの笑顔を見せた。

 2年連続で開幕試合を引き当てたチームを、2年ぶりの初戦突破へ導いたルーキーは、過去に日本一に輝いた経歴を持つ。広瀬中1年の夏、所属していたリトルリーグの「折立スパローズ」で全国大会に出場。決勝戦で延長戦突入後から登板し「投げたら勝っちゃったので優勝投手でした」と振り返る。だがその後、「一緒に野球をやりたい仲間がいたから」と中学の軟式野球部へ戻り、「その仲間と同じ高校へ行って甲子園を目指したいと思った」と仙台野球部へ進んだ。

 硬式に戻りまだ4カ月弱。練習試合でも「最長は7回」という佐藤隼を先発起用した石垣光朗監督(52)は「制球の良さと勝負心を買って」と大抜てき。期待に応える好投だけでなく、佐藤隼は5回表に右前適時打も放った。公式戦初登板初先発初完投に加え、初安打初打点もマークする鮮烈デビュー。次戦の仙台育英戦では「平沢(大河=3年)さんと対戦したい」と目を輝かせ、「県内トップクラスの投手になって甲子園を狙いたい」。佐藤隼の高校野球物語の1ページ目がめくられた。【成田光季】

 ◆佐藤隼輔(さとう・しゅんすけ)2000年(平12)1月3日、仙台市生まれ。小4で愛子小スポーツ少年団で野球を始める。広瀬中では軟式野球部と1年夏までリトルリーグの折立スパローズに所属。178センチ、64キロ。左投げ左打ち。家族は両親と姉。B型。