秋田商の左腕エースで、U18(18歳以下)ワールドカップでも活躍した成田翔(かける=3年)が九州国際大付(福岡)相手に11三振を奪い、2安打完封した。試合後には、プロ志望届を提出することを宣言した。今日28日、秋田商は東海大相模(神奈川)と対戦する。

 成田翔の夏は終わっていなかった。九州国際大付のスラッガー山本武白志(むさし)との対決に燃えた。初回は2ボール2ストライクからスライダーで空振り三振に打ち取ったが、2打席目の4回には痛烈な打球を右翼フェンス際に運ばれた。記録は右飛も「いい当たりを打たれれば悔しい」。負けず嫌いは、どんな試合でも一緒だ。山本ら強打者がそろう相手に11奪三振2安打完封。直球が伸び、武器である縦のスライダーのキレ味も抜群。自ら「90点」と高得点を付ける納得の内容だった。

 何よりうれしかったのは「チェンジアップでかなり三振を取れたこと」。チェンジアップは、U18で一緒だった東海大相模のドラ1候補左腕、小笠原の武器。「こんな球を投げられれば今後に生きてくる」と大会中に小笠原に投げる感覚を教えてもらった。秋田に帰ってから約3週間練習し、実戦で使えるまで高めた。「(東海大)相模に対して通用するか楽しみ」と今日の対戦でも試すつもりだ。

 「出すつもりです」とこの日、公の場で初めてプロ志望届を出す意思を示した。決まりかけていた社会人野球の道を考え直すきっかけになったのは、夏の甲子園と日本代表での経験だ。甲子園では初戦で16三振をマーク。U18では169センチと小柄でも大柄な打者にボールが通用することを証明した。「小学校からの(プロの)チャンスが出てきたので、今回挑戦しようと」。最後のアピールの場である国体で「今まで以上に自信を持って、思い切って投げることが出来た」。明確になった夢が、好投を呼んだ。【高場泉穂】