西東京の「ドクターK」が旋風を巻き起こす。聖徳学園の左腕エース長谷川宙輝(ひろき)投手(3年)は昨秋、ブロック予選の日本工大駒場戦で20奪三振の快投。続く東大和戦でも毎回の14三振を奪い、プロのスカウトから注目される存在になった。最速144キロの直球と落差のあるスライダーで三振を量産しながら、昨秋、今春ともブロック予選で敗退。最後の夏へ向け「神宮のマウンドに立ちたい」と躍進を誓った。

 入学時からは想像もつかない成長を遂げた。「体重は50キロくらいで、球速も120キロ程度だった」と話す。91年に聖徳学園と名称変更される前の関東高は都内有数の強豪校で、巨人江藤打撃コーチも輩出した。長谷川は中学からの内部進学。「高校の野球部が強くないことは知っていた。『自分が強くしよう』と思った」。同校OBの中里英亮監督(49)は「中学で1度も勝っていないけど、スライダーに光るものがあった。この子を育てて勝負しようと思った」。二人三脚で体力強化に取り組み、体重は約20キロ増の74キロ。球速も大幅にアップし、1試合の奪三振は「10個以下のことは、ほとんどない」(中里監督)というまでになった。

 初戦は7月9日の多摩工戦。「三振を27個取る気で投げる」。楽天松井裕に憧れる長谷川が、奪三振ショーを見せる。【鹿野雄太】

 ◆長谷川宙輝(はせがわ・ひろき)1998年(平10)8月23日、東京・小平市生まれ。幼稚園年長から鷹の台スパローズで野球を始める。ポジションは投手。聖徳学園中では軟式野球部に所属。聖徳学園高では1年夏から背番号「7」でベンチ入り。左投げ左打ち。174センチ、74キロ。家族は両親と兄2人。