札幌、小樽、空知、旭川、釧根、北見の6地区で代表決定戦が行われ、新たに17代表が決まった。小樽では創部16年目の双葉が、昨夏南大会4強の小樽潮陵を12-3の7回コールドで下し、初代表に名乗り。今日4日には、札幌、室蘭、名寄の3地区で代表決定戦が行われる。

 もう“キセキ”とは、言わせない。チームを率いて今年で10年目になる双葉の長谷川倫樹監督(33)は「10年は長かった。部員不足で、もう辞めようかと思ったこともあった。うれしいっすねぇ」と、夏は初の代表切符に感激した。3年前の秋には5人しかいなかったチームが、今は総勢37人。「ようやく普通の野球部になりました」という言葉に、実感がこもった。

 投打で、昨夏南大会4強の小樽潮陵を圧倒した。2回に4安打を集めて2点を先行すると、6回までに10安打で12点。11四死球でためた走者を、適時打でそつなくかえした。投げては1年秋から背番号1のエース八島駿哉(3年)が、3失点と踏ん張った。スリークオーターから繰り出すカットボールが効果的で、4者連続を含む7奪三振。「八島がダメなら仕方ないと思っていた」という長谷川監督の期待に応えた。

 ひとつの奇跡が、未来を変えた。13年秋、野球部5人にスキー部3人、帰宅部1人の助っ人を加え、小樽地区予選に参加。スキー部員が本塁打を放つなど3戦連続コールド勝ちで代表決定戦に進み、話題を呼んだ。書籍化され、テレビ番組にも取り上げられるなど大フィーバー。当時、中3だった原田翼遊撃手(3年)は「ニュースで知って面白そうなチームだと思った」と、八島ら同じ小樽シニアで全国大会に出場したメンバー5人を誘い、双葉の門をたたいた。

 現在の3年生は1年時からベンチ入り。即戦力でチームを支えた。原田翼、角田、伊勢の3人は入学早々の春からスタメンに定着。なかなか越えられなかった代表決定戦の壁を、最後の夏に突破した。「自分たちでチームを強くするんだという気持ちでやってきた。道大会優勝の目標を達成したい」と八島は言う。その先に、夢の甲子園が待っている。【中島宙恵】