明日7日開幕の第98回全国高校野球選手権(甲子園)に出場する東北(宮城)が5日、兵庫・西宮市内で9日の第3試合で対戦する横浜(神奈川)対策を講じた。プロ注目の最速152キロ右腕・藤平尚真(3年)を想定し、160キロに設定したマシンを導入。14人の打者がバットを振らず約40分間、ひたすら球筋を確認した。初戦までの残り3日間で目慣らしを行い、剛腕藤平を打ち砕いて7年ぶりの初戦突破を狙う。

 一塁ベンチ前に置かれた160キロマシンを前に、14人の打者がバットを振らず、1人約10球ずつ球筋を確認した。横浜との対決が決まった4日夜の時点で、業者を通じてマシンを確保した我妻敏監督(34)は「当てにいく小さな打撃をしてほしくなかったから、振らせなかった」と「目慣らし作戦」の意図を説明した。

 我妻監督が「由規(現ヤクルト)以来ですね」と振り返るほどの秘策だ。06年宮城大会の決勝戦、当時150キロを超える剛腕2年生の仙台育英・佐藤由規に2安打に封じられ、延長再試合で敗れたのを機に160キロマシン作戦を導入した。翌07年の夏準決勝で再戦し2-3で敗れはしたが、9安打を放って速球派の攻略に手応えをつかんでいた。

 秘策に選手も応えた。杉沢龍内野手(1年)は「そこまで速く感じなかった。この球を打てるようにならないと、先につながらない」と胸を張った。中学の友部シニアで、千葉市シニアの藤平と対戦経験がある笹沼匠外野手(3年)は2度打席に入り、20球以上も球筋を追った。「藤平の球は伸びがあってホップする。マシンよりもっといい球を投げてくる」と気を引き締めた。

 バットを振らない「目慣らし作戦」は、初戦までの残り3日間継続する。我妻監督は「常時150キロが出るわけではないので、驚かないように。いつも通りやるだけ」と目を光らせた。徹底した準備で藤平横浜を撃破し、名門復活ののろしを上げる。【高橋洋平】