高校日本代表の花咲徳栄(埼玉)高橋昂也投手(3年)が、「世界仕様フォーク」でフル回転する。U-18(18歳以下)アジア選手権(30日から6日間、台湾・台中)に出場するチームは26日、埼玉・新座市内で下級生主体の立大と練習試合を行い2-6で敗れた。4回から登板した高橋は、今夏甲子園で封印していた内角へのフォークを駆使して3回2安打5奪三振で無失点。先発中継ぎを問わず、重要な場面で起用される可能性が高まった。今日27日は大学日本代表とQVCマリンで壮行試合を行う。

 最速152キロ左腕の高橋が、「消える魔球」で大学生を抑え込んだ。左打者中心の立大打線に対し、内角へのフォークを“解禁”。6回の先頭には完全にタイミングをずらし、三ゴロに打ち取った。直球の最速は149キロをマーク。前日25日の早大戦を含め、登板した6投手で唯一無失点に抑えた。「変化球のキレがよかった。いい投球ができた」と手応えを口にした。

 落ちる軌道は、高橋自身もわからない。初めてバッテリーを組んだ、いなべ総合学園(三重)渡辺雄太捕手(3年)は「フォークはどう落ちるか読めないから、左打者にはほとんど投げていないと言っていた」と話す。今夏の甲子園では、左右を問わず外角中心の配球。直球に強い相手に、内角への落ちる球は効果的だった。高橋は「どんどん抑えていこうと話して、(フォークを)増やした。要所でインコースを突けた」。初コンビの女房役から引き出された新たな武器を、視察した10球団約30人のスカウトにも披露した。

 我慢の男は、絶対に試合を壊さない。甲子園では初戦から22イニング、走者得点圏の場面で安打を許さなかった。小6の時、野球肘で約半年間投球できなかった。焦る気持ちを抑え、新しいボールが真っ黒になるまで自宅で握り、復帰の時を待った。小枝守監督(65)は「追い込まれるほど強いタイプ」と、中継ぎや抑えでの起用も示唆した。

 今日27日の壮行試合が本番前最後の実戦。監督は「投手は全員投げさせる」と明言した。高橋は「短いイニングでも実力を出すだけ」と、強力打線をねじ伏せるつもりだ。【鹿野雄太】