高校の部決勝は、初出場の札幌大谷(北海道)と古豪・星稜(北信越・石川)の対戦になった。札幌大谷の背番号17、太田流星投手(2年)が、8回まで無安打無得点の好投で筑陽学園(九州・福岡)に勝利。北海道勢として、田中将大を擁して優勝した05年駒大苫小牧以来の優勝を狙う。

札幌大谷の横手投げ右腕・太田が、ノーヒットノーランこそ逃したものの、日本一に王手をかける快投を披露した。9回に3安打を許し、2点を失い「最後はうっかり甘い球を投げてしまったが、最後に勝っていればいい」。同校OGのタレント里田まいを妻に持つヤンキース田中が優勝して以来の北海道勢Vにあと1勝に迫っても、背番17は淡々と振り返った。

「7回ぐらいに(ノーヒットノーランを)やるかもと自分で話していた」と言う。8回まで無安打無失点。現実味を帯びた9回、先頭打者に安打を与えると、すぐさま伝令から船尾監督の「世の中そんなに甘くないぞ」というメッセージを伝えられ、気持ちを切り替え投げきった。

最速は120キロ台後半。斜め下から伸び上がるような球の軌道と、それを生かしたシュートが武器で「自分でもどう曲がるか分からない」と言う。9回に初安打を放った筑陽学園の福島は「シュートしながら落ちる感じ。打てそうで打てない」と舌を巻く。

名前が流星(りゅうせい)とあり「お笑い芸人は流れ星ちゅうえいが好きです」と言う。好きなギャグは「冷やしピース」。74年日大山形・金子以来44年ぶりのノーヒットノーランはお預けとなり「冷やし」気味の幕切れも、ホットな「ピース」は、今日の決勝戦に取っておく。【永野高輔】