<3月22日センバツ開幕:菊川

 連覇への道(24)>

 常葉学園菊川(静岡)の酒井嵩裕遊撃手(2年)は、昨年の春夏甲子園で安打を量産した。35打数で、引退した3年生を含めても最多の14安打。打率は4割に達した。理由を「チームの勢いで打てました」と分析する控えめな人柄だが、相手投手にとっては恐ろしい存在だ。

 昨秋は全11試合4番として安打(16)本塁打(2)打点(11)でチームトップ(タイ含む)の数字を残した。年明けの紅白戦では当初3試合で引っ張りが目立ったが、すぐさま打撃マシンを引っ張り出して居残り練習で体の開きを修正。4試合目には右へ二塁打2本と対応力の高さを見せた。

 森下知幸監督(46)が「慎重過ぎるほど慎重な性格」と評すように、打席に入る前の準備が入念だ。ゆっくりと歩を進めた次打者席で、投手の球種や勝負球を分析。昨春2回戦(今治西)からは手首に振ったフェラガモの女性用香水をかぎ、ルーティン作業で心を落ち着かせてから打席に向かう。2月からは車で片道40分かかっていた通学時間を練習に充てるため入寮。最上級生として迎えるセンバツへ向け、態勢を整えた。

 新チーム結成後、一塁から遊撃に転向した。中学時代まで慣れ親しんだポジションだが「このままでは迷惑を掛けると思って、自分にプレッシャーをかけて」猛練習に励んだ。目標は「10回やったら10回できるように」だった。昨秋県大会直前、涙を流してノックに食らいつくこともあった。攻守にすきを無くした酒井が、連覇をけん引する。【斎藤直樹】