<高校野球・秋季秋田県大会:明桜3-2秋田商>◇27日◇こまちスタジアム◇準決勝

 明桜が3-2で秋田南に競り勝ち、2年連続14度目の東北大会出場を決めた。エース左腕の二木(ふたぎ)健投手(2年)が6安打10奪三振で完投した。

 冷静さを保っていた二木が、何度もほえた。「気合で1つのアウトを確実に取ろうとして、自然と声が出た」。7回裏2死二、三塁の同点機を三振でしのぐと絶叫した。1点差の9回も2死二塁のピンチ。最後は二ゴロに打ち取り2度、左拳を突き上げ再び絶叫した。

 13回11四死球と制球に苦しんだ、過去2戦とは違った。この日は5回1死まで走者を許さず2四球のみ。田中亮監督(37)は「これまで低めに集めろ、と制球を意識させすぎた。今日は思い切って行け、としか言わなかった」と“制約”を解除。しなやかな腕の振りから大胆に投げ込む、本来の良さが出た。視察した中日の山本スカウトは「今すぐプロというわけではないが、来年も見たい投手。小さい体を使いこなしている」と語った。

 秋田経法大付から昨年、校名変更し進学校への転換を図る明桜の1期生。「野球でいい成績を残したい」と二木は意気込む。夏までは力ある3年生左腕2人がいたため、今秋からエースを担う。「今まで先輩に頼っていたが、背番1の自覚が芽生えてきた」と田中監督。二木は県の中心部にあり「秋田のへそ」と呼ばれる秋田市河辺地区生まれ。「明桜のへそ」となった左腕が、2年連続の東北大会に臨む。【清水智彦】