【ソウル4日=今井恵太、鎌田良美】優勝を争う最大のライバルとみられる韓国が、日本を揺さぶってきた?

 韓国の聯合ニュースは同日の電子版で、18U(18歳以下)世界選手権に出場している韓国代表のイ・ジョンフン監督が、日本-チェコ戦を視察し「日本選手が圧縮バットを使用している」と主張した、と報じた。日本側はこの報道を確認し次第、大会組織委員会を通じ発言の真意などを問いたい意向。今日5日から第2ラウンドが始まり、日本は明日6日に韓国と激突する。

 予選第1ラウンドを4連勝で終え、波に乗って第2ラウンドに進出する日本に、思わぬ難癖がつけられた形となった。韓国の聯合ニュースは4日の電子版で、「韓国監督『日本が圧縮バットを使用』と主張」という見出しとともに、韓国代表のイ監督の「日本選手が圧縮バットを使用している」というコメントを掲載した。

 記事によると、この日の日本-チェコ戦を観戦したイ監督が、日本選手の打撃音や、打ち損じても打球がぐんぐんと伸びたことなどを挙げて「圧縮バットを使用していることは100%確実」と試合後に発言したという。また、日本は1日の台湾戦以降に圧縮バットを使い始めたようだと述べ、普段は金属バットを使用する日本の高校生が木製バットに慣れていないため、使っていると話した、と伝えている。

 これに対して、高校日本代表に同行している日本高野連の竹中雅彦参事は「(記事のことは)耳にしている」と話した。高校日本代表はチームからミズノ、ローリングス、SSK、ゼットと4社の木製バットを選手に支給。竹中氏によると、大会開幕前からこの日まで、大会組織委員会による用具のチェックは受けていないという。同氏は「いつでもバットの検査をしてもらって構わない」と話した。

 主催するIBAF(国際野球連盟)の大会組織委員会の関係者は「韓国側から公式にそのような話はきていないし、議題にも上がっていない。日本のバットを検査するつもりもない」と話し、全く高校日本代表が使用しているバットについて問題視していない。日本側は今日5日の新聞等で記事を確認した場合は、大会組織委員会を通して、韓国サイドに発言の有無や真意を問う意向だという。

 開催国ゆえのプレッシャーなのか、韓国は戦前の予想を裏切り、3日のコロンビア戦を1-3で落とした。6日には日本との直接対決があるが、関係者によると、かなりのピリピリムードという。

 ◆18U世界選手権の使用バット

 大会規則には、国際野球連盟(IBAF)の承認を受けた製造メーカー配給による木製バットを使用、と明記されている。また繊維ガラスで覆われていたり木片を組み合わせた「複合材バット」の使用を禁止。圧縮バットはこれに該当し、使用が発覚した場合は7~8試合の出場停止と、1000ドル(約8万円)の罰金を科せられる。

 ◆圧縮バット

 木質を硬化することで折れにくくし、バット用材のホワイトアッシュやアオダモ保護の目的と、反発力が良いことで70年代に急速に普及してきた。表面の硬度を増すために、木の水分や油分を取り除き、フェイノールという樹脂を注入してから約200度の熱をかけてプレスして作る。77年にセ・リーグの本塁打が初めて1000本を超えるなど、本塁打増加は反発力の高い圧縮バットによるものと考えられ、80年7月30日にプロ野球の下田コミッショナーが「プロ野球用バットの加工方法に関する通達」を発表。プロ野球では81年から圧縮バットが禁止された。