<センバツ高校野球:済々黌2-0常総学院>◇26日◇2回戦

 優勝した第30回大会以来、55年ぶり出場の済々黌(熊本)は常総学院(茨城)に完封勝ちした。

 済々黌・大竹耕太郎投手(3年)は覚えたての新球で最大のピンチを断った。2-0の8回裏2死二、三塁。打席には2安打されていた4番の内田。一塁は空いている。しかし、バッテリーに勝負を避ける選択肢はなかった。「当ててもいい」と大竹。厳しい内角攻めで追い込み、勝負球はチェンジアップ。ワンバウンドの球にバットを振らせた。

 この日24個目のアウトが初めての三振だった。「自分の中では点さえ取られなければ、ヒットは何本打たれてもいい。この冬は打たせて取る投球をしっかりやってきた」。そのために習得したチェンジアップ。公式戦で初めて投げた球を勝負球に使った。常総学院に9安打されても結果は失点0。「ここ一番にいいボールがいく。安心して見ていました」と池田満頼監督(40)は頼もしいエースを絶賛した。

 昨夏の甲子園3回戦で優勝した大阪桐蔭に3発を浴びた。中でも同学年の森友哉捕手に膝元への直球を右翼席に運ばれた1発はショックだった。「厳しいコースを本塁打された。あの負けがこの冬のモチベーションになった」。走り込み、自主的にジムへ通って体幹を鍛えた。その成果を披露した大竹は「味方しかいないような雰囲気。あれがなかったら勝てなかったです」とアルプスを黄色く染めた大応援団に感謝した。【実藤健一】

 ◆ブランク勝利

 済々黌は優勝した58年以来の勝利。センバツの長期ブランク勝利では史上5番目。最長は98年関大一の69年ぶり。