<高校野球奈良大会:智弁学園8-1平城>◇19日◇2回戦◇佐藤薬品スタジアム

 今秋ドラフト上位候補の智弁学園・岡本和真内野手(3年)が、夏の初戦では2年連続となる満塁アーチを放った。2-1の7回無死満塁で右翼スタンドへ高校通算71号をたたき込み、チームを7回コールド発進にけん引。ぎっくり腰の影響で本調子でない中、3打数1安打4打点で大物ぶりをみせつけた。

 腰痛を抱えていても、怪物はやはり怪物だった。初戦でまた、岡本が打った。岩田拓内野手(3年)の適時打で2-1と勝ち越し、なおも7回無死満塁。カウント3-1から右翼の外野芝生席へ、押し込むような71号。「ピッチャーが頑張っていたし、みんながつないでくれたチャンス。打った瞬間は『入ってくれ~』と祈りました。シンでとらえることができました」。中盤までの苦戦がうそのように、この回7点。主砲の1発がコールド勝ちを運んできた。

 1年前の奈良大会初戦・奈良北戦で場外弾&満塁弾を打ち、今春のセンバツ初戦・三重戦ではバックスクリーン弾を含む2発。そして高校最後の夏の初戦で2年連続となる満塁弾。「ああいうところで打てるのは力がないとできないこと。スター候補です。日本人のホームラン打者になれる可能性を持った選手」。11~12年の西武中村、10年オリックスT-岡田のように、日本人の本塁打王になりうる素材と、阪神畑山スカウトは認めた。

 高校最後の夏を迎える2日前から「夕食は鍋にしてもらいました」と、しょうゆ味のスープで豚肉と野菜を煮込んでもらった。「消化がいいようにと。体のためを思って」と明かした。春から夏にかけて故障に苦しんだことが根底にあった。

 5月下旬の練習試合で左肘に死球。「監督に言われていたのに、あわてて肘当てをつけていなくて。それから必ずつけるようにしました」とケガを教訓にしたが、6月中旬には練習中にぎっくり腰を起こした。「今は、気にならない程度にはなった」と笑ったが、本調子ではない中で1点を追った初回初打席は死球で出塁。夏の大会では自身初の二盗を決め、同点のホームを踏んだ。チームのために何かをしようと必死だった。「どんな形でも優勝して甲子園に行きたい」と願う夏。最高の形で船出を飾った。【堀まどか】

 ◆岡本和真(おかもと・かずま)1996年(平8)6月30日、奈良・五條市生まれ。北宇智小1年から「カインド」で投手兼内野手として野球を始める。五條東中では「橿原磯城シニア」で投手兼三塁手。智弁学園では1年春からベンチ入り。50メートル走5秒8。遠投100メートル。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。<智弁学園・岡本の怪物弾>

 ◆2年夏に場外弾&満塁弾

 昨年7月18日の奈良大会初戦(2回戦)・奈良北戦の初回、佐藤薬品スタジアムの左翼スタンド場外に消える推定飛距離130メートルの豪快弾を放った。さらに5回の1死満塁で高校37号の満塁弾を放ち、12-0のサヨナラコールドを決めた。

 ◆史上19人目の1試合2本塁打

 甲子園デビューの今年3月24日のセンバツ1回戦(三重戦)で、初回2死無走者の初打席にバックスクリーンへ名刺代わりの1発。6回の第3打席は高校59号を左翼席に運び、史上19人目のセンバツ1試合2発を記録した。

 ◆腰痛でも豪快弾

 同6月21日の練習試合・北大津(滋賀)戦で9回2死から代打で登場し、皇子山の左翼スタンドへ高校70号。数日前にぎっくり腰を起こし、当初は出場予定はなかった。相手の宮崎裕也監督(52)を「やっぱり怪物」と脱帽させた。