<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇3日

 4番でエースの盛岡大付(岩手)松本裕樹投手(3年)の心に火が付いた。前日の降雨のためグラウンドが使えず、練習は外野でのウオーミングアップと室内打撃のみ。13年センバツ以来、約1年半ぶりのマウンドに立つことは出来なかった。だが練習後、甲子園の銀傘の下で景色を見渡しながら気持ちが高ぶったのか「150キロ出ればいいかな。ホームランも打てれば」と、自己最速タイ&高校通算55号宣言が飛び出した。

 150キロは、今春の盛岡地区大会決勝(対盛岡三)で延長13回裏2死、見逃し三振を取った最後の球でマークした。それも「少し力を入れた」ぐらいだった。以来、公式戦では149キロまでは計測したが、150キロ超えはない。夏の岩手県大会では連投を見越して、状況に応じ力を抜く場面が見られたが、甲子園では「まず1勝。それから2、3勝と積み上げたい」と、初戦からフルパワーで行く構えだ。150キロ台の期待値は高い。

 7月24日の岩手県大会決勝後は、1度も投球練習を行わずに疲れを癒やしてきた。この日、甲子園練習後に西宮市内で行った練習でもブルペンに入らず、軽いキャッチボールにとどめた。それでも松本は「不安はないです」と余裕の表情。近日中にも投球練習を再開する見込みで、関口清治監督(37)も「ためて、ためて、ためて、出させます」と本番の爆発力に期待を寄せる。「早く試合がやりたい」と松本。日本中に、力を見せつける。【高場泉穂】