<全国高校野球選手権:敦賀気比16-1盛岡大付>◇20日◇3回戦

 敦賀気比(福井)は、盛岡大付(岩手)のドラフト1位候補右腕、松本裕樹投手(3年)から9点を奪い、大勝で17年ぶりの8強進出を決めた。

 ヒットメーカーが復活した。敦賀気比・浅井洸耶(3年)のバットが、ドラフト1位候補の松本を沈めた。先頭で迎えた3回、初球を左翼スタンドへ運び、勝ち越しの高校通算32号ソロ。12人攻撃8点への流れをつくり、夏史上3度目の3試合連続2桁得点、93年ぶりの3試合40得点超えを導き出した。

 その後も右中間突破の三塁打、犠飛、中前打で3安打3打点。二塁打を打てば、サイクル安打達成だった。福井大会は2割9分4厘。甲子園大会でも2試合9打数3安打ながら、元気な打線に置いていかれる危機感があった。試合直前、右肩にバットを乗せる形に打撃フォームを変えた。それが奏功。「きょうは打てる気しかしなかった。ゾーンに入ったというか、ボールがすごくよく見えて。5の5を打ったときと同じような感覚でした」と端正な顔をほころばせた。

 昨年のセンバツ開幕戦、沖縄尚学戦で春夏通じて県勢史上初の5打数5安打をマークし、4強の原動力にもなった。だが夏の甲子園出場を逃し、新チームの主将になった昨秋の9月下旬、原因不明の高熱に苦しんだ。40度近い熱が3、4日続き、体重は5キロ減ってほおもこけた。体調不良と戦いながら福井県予選、北信越大会も出場を続け、1回戦の日本文理(新潟)戦で好投手の飯塚悟史(3年)から本塁打も打ったが1-5で敗れ、センバツに届かなかった。

 冬の間、チームで1日1000本ものスイングを敢行。雪が解けてグラウンドを使えるようになった春以降は、練習時間の8割を使う厳しいノックで足腰を鍛えてつくりあげた強力打線。「今年は、逆転できる力があります」とチーム力に胸を張った浅井主将。北陸初の大優勝旗まで、あと3勝だ。【堀まどか】