第90回全国高校野球選手権大会が2日、甲子園球場で開幕。開会式では東北6代表も元気な姿で入場行進した。出場55校中唯一、相手が決まっていなかった盛岡大付(岩手)は、開幕戦を勝った駒大岩見沢(北北海道)との対戦(8日目第2試合)が決定。分の悪い「しんがり」登場で甲子園初勝利を狙う。

 盛岡大付の対戦相手が、ようやく決まった。下関工(山口)との開幕戦で序盤に大量リードし、何とか逃げ切った駒大岩見沢だ。5回終了まで観戦した盛岡大付ナインは、手応えと自信をつかんで球場を後にした。沢田真一監督(43)の予想が当たっていたこともある。既に相手を想定し、この2日間は移動バスの車中で道大会のビデオをチェックしていた。

 15安打を放った駒大岩見沢だが、190センチの左腕エース鴇田(ときた)優磨投手(3年)は「いつも通りの投球をすれば打たれない。完封が目標」と自信たっぷり。リリーフとして県大会で活躍した143キロ右腕、金沢龍佑投手(2年)も「当ててくるけど怖い印象はない」と言い切った。

 出場55校中、最後に初戦を戦う。「しんがり」はハンディとも言われる。90年以降、出場校中最後に登場した高校は3勝15敗(1分け)と分が悪い。開幕から試合まで、あきすぎることが敗因と思われる。だが沢田監督は意に介さない。むしろ県大会の疲れを癒やすように、ゆったりとした調整を続けている。リハーサルのあった前日に「開会式も疲労が出ますから」と、この日もオフにした。6日も休養日とし、兵庫・篠山市の今田(こんだ)薬師温泉に足を運ぶ予定だ。

 初戦までに「心を充実させることが大事。やれる、と信じ込ませることができたら勝つ」と語る。制球にやや難がある鴇田には「コントロールを良くする魔法の言葉も見つけたんです。短いですが試合前に、心にスイッチが入る言葉を掛けたい」と笑った。過去春1度、夏5度の甲子園はすべて初戦負け。負のイメージをはね返し、初勝利をつかんでみせる。【清水智彦】