落札が悲劇を招いた?

 ヤンキースとの契約が不成立に終わった西武中島裕之内野手(29)の代理人グレッグ・ゲンスキー氏が7日、ヤ軍との破談理由を明かす声明を発表した。最優先したのは「お金じゃない。能力を最大限に発揮でき、チームのために働くこと」と先発機会だったという。だがヤ軍は落札発表時から「控え」を明言。同氏は「内野手にオールスターばかりを抱えるヤンキースでは、彼の能力と目標に見合う役割をもらえるか疑問だった」と、交渉当初から深い溝があったとした。

 不満の矛先は「興味を持ってくれたことには感謝する」とヤ軍ではなく、「相手は1球団だけ。もっと彼の能力を生かせる球団があるのに、交渉の機会も与えられないのは不幸だ」とポスティングシステム(入札制度)にぶつけた。声明文の冒頭では中島を「打って守って走れる。日本を代表するベスト野手の1人」と評し、「(控えが)彼のキャリアにふさわしいはずがない。残念だが1年待つことにした」と、再挑戦の意思を代弁した。

 米メディアを代表する記者も中島に同情した。CBSスポーツのヘイマン氏はツイッターで、「オファーは約100万ドル(約7500万円)だったと聞く。問題はお金じゃなく役割。彼は西武のスタメンでスターだ」と実力にそぐわない評価だったと分析。FOXスポーツのローゼンサール氏は「日本人野手への信頼は揺らいでいるが、球団が正当な評価を行っているとは思わない」とし、「入札制度の典型的な欠陥を露呈した」と問題視した。