豪華競演が実現!! 広島の黒田博樹投手(40=ヤンキース)と前田健太投手(26)が22日、沖縄キャンプでそろってブルペン入りした。天候による練習場変更によって、球場内ブルペンで並んで投球練習を行った。同じ時間を共有し、偶然にも同じ球数50球を投じた。24年ぶりの優勝へ、ダブルエースの共闘が本格的に幕を開けた。

 天気のいたずらだった。小雨のため投球練習の場所が変わり、黒田と前田の初競演が実現した。ウオーミングアップから同組で体を温め、メーングラウンドで並んでキャッチボールを行うと、まず前田がブルペン入り。しばらくして黒田がブルペンに入った。数分ではあったが、同じ空間を共有。報道陣には非公開となったが、心地いい捕手のミット音が漏れ聞こえていた。

 偶然にも同じ球数50球で終えた。先に出てきた前田は「隣で投げていたので、よく見ることができなかった。まだ調整段階ですから」と無意識を強調。黒田は「いい球、力強い球を投げていた。迫力ある球だったと思う」と若きエースの実力を認めた。

 米大リーグ5年連続2桁勝利の実績と20億円前後のメガオファーを蹴って復帰した黒田に、合流当初はチーム内に遠慮が見られた。ただ日を追うごとにチームに溶け込み、今では練習中に談笑する姿も見られる。「日本のキャンプにも慣れて、だいぶ流れもつかめてきた」。この日は封印していたスライダーを解禁。3、4球投じた。球を受けた会沢は「カーブのように曲がりが大きかった」と切れの良さに舌を巻く。順調な仕上がりを見せる黒田は、25日にフリー打撃登板を予定する。

 日本球界復帰の黒田を、視察に訪れた熊崎勝彦コミッショナー(73)も大歓迎した。「帰ってきてくれて僕はうれしい、と率直に伝えた。彼は男の中の男、プロ中のプロ。(日本復帰は)涙が出るくらいうれしかった」。おとこ気に触れ、コメントにも感情がほとばしっていた。

 開幕投手は既に緒方監督に指名された前田で内定。黒田も、入団会見で「マエケンの実績からして、彼がやるべき」と言い切った。大役は後輩に譲ったものの、24年ぶりの優勝のためにお互いを刺激し合えば、チームは活気づく。2大エースの競演から夢の扉が開かれた。【前原淳】