谷繁の「変」がセ界をかき回す。中日は26日、沖縄・北谷キャンプを打ち上げた。谷繁元信兼任監督(44)は昨年に続いてあえてMVPを選ばず、決まったポジションは1つもないと強調。スピード野球など「変化」した収穫を挙げた。3・27開幕までちょうど1カ月。昨年とは明らかに「変わった」感触を経て、2年目の逆襲へさらなるレベルアップを求めていく。

 大島選手会長の手締めで1カ月にわたるキャンプは終わった。笑顔を見せる選手たちとは対照的に、指揮官の表情には逆に緊張感が芽生えたように見えた。

 「個人的な名前は出しません。全員、1カ月よくやった。これからの実戦でどういう形が出てくるか。細かいところはまだまだやっていかないと」

 1人だけMVPを選ぶことなどできない。大きな故障者、離脱者もなく終えた。指揮官には確かな手応えが残っている。3つの「変」について言及した。

 変(1) 「昨年よりスピードのある選手が増えた」と言った。友永、石川、井領、遠藤の新人4人に移籍組の亀沢の動きはチームに変化をもたらした。実戦6試合で14盗塁。失敗はわずか1。21日ロッテ戦の井領の三塁打2本や、24日LG戦の1安打で2得点の「足攻」などスピード感のある攻撃は際立った。

 変(2) 監督が気付いたうれしい変化点は音だ。「1つ挙げるとしたらフリー打撃で打球の音が変わってきた。それだけでも昨年と全然違う」。就任以来、テーマとしてきた若手の底上げ。連日打ち込んだ高橋周には「打球の質が変わってきた」と言い、福田や松井佑らも課題が実になりつつある。福田は実戦で2発と結果も伴った。地力アップは「音」が教えてくれた。

 変(3) すべてのポジションを「決まっていない」と断言した。4番も開幕投手もローテーションも野手の定位置も柔軟性を持って見極める。まだまだ決断しない。評価も、起用も、これからもめまぐるしく「変」わっていく。「そのポジションでみんな競争しながらやっていく」

 「心技体」の成長を掲げて臨んだ2015年キャンプ。指揮官は昨年からの着実な変化を感じている。「少しずつ変化が出ている。でも1カ月で身につくものではない。そういう気持ち、姿勢をこれからも続けていく」。沖縄で得た変化の兆しこそが、逆襲のプロローグになる。【柏原誠】