1番鳥谷からVロード発進! 阪神鳥谷敬内野手(33)が今日27日の中日戦(京セラドーム大阪)を「1番遊撃」で開幕する。昨オフは海外FA宣言した上で、悲願のV奪回を成し遂げるため残留を決断。1500試合連続出場まで残り34試合に迫るなど、今季も数々の記録到達が予想されるが、目指すは球団創設80周年のメモリアルVだけ。キャプテンが悲願に導く。

 記者が持つメモを手に取り、マジマジと眺めた。先日のこと。1500試合連続出場まで残り34試合、500試合連続フルイニング出場まで残り68試合…。鳥谷は自分にまつわる記録の表をチェックした後、「なんでもいいよ。個人記録は本当に気にしていないから」と笑い飛ばした。

 前日25日には西宮市内の焼き肉店で選手決起集会に出席。「裏方さんのためにも優勝しましょう。優勝旅行に行きましょう」と声を張り上げた。キャプテン就任4年目。頭の中には10年ぶりのリーグ制覇、30年ぶりの日本一奪回しかないということだ。

 「開幕戦に特別な思いはないですけど、チームとしていいスタートを切って、とにかく優勝できるように頑張りたいですね」

 開幕戦前日の26日、京セラドーム大阪で全体練習に参加した後、爽やかな笑顔でグラウンドを後にした。今日27日の中日戦は1番遊撃で先発予定。長年の定位置だった3番に別れを告げ、今季は新猛虎打線の目玉として核弾頭を担う。

 「いい調整ができた。打順によってバッティングを変えることはないけど、足でもかき回せるようにしたいですね。そのためにもしっかり出塁できるようにしたい」

 落ち着いた表情に自信が見え隠れする。

 11年から3年連続で四球王。11年には3割9分5厘で最高出塁率を記録している。昨季はリーグ2位の87四球、同3位の出塁率4割6厘。1番打者としての適性は誰の目にも明らかだ。

 ルーキーイヤーの04年から11年連続で開幕戦に先発し、1度も出塁できなかった試合はわずか1戦だけ。15年開幕戦も、打線のカギを握ることは間違いない。和田監督からも「守備の方でもセンターラインの鳥谷、上本。打線でも1、2番を打つ鳥谷、上本。この2人が引っ張っていってほしい」と期待を込められている。

 昨季終了後のオフに、海外FA宣言した。メジャー挑戦を視野に入れながら、約2カ月間熟考した結果、残留という道を選んだ。「やり残したこと」と表現する、悲願の優勝を若虎たちにも味わってもらいたいからだ。球団創設80周年を迎える15年。夢を現実に変えるため、Vロードに力強く1歩目を刻み込む。【佐井陽介】