大型連休でも、猛虎は休みません。阪神が鮮やかな逆転で今季初の4連勝を飾った。1-1の7回、2死満塁から上本博紀内野手(28)が左翼線に勝ち越しの3点二塁打。この回、代打攻勢を仕掛け3人目の代打俊介が粘って四球でつないだ2死満塁を選手会長が仕留めた。3、4月を13勝14敗の借金1で終え5月攻勢につなげた。

 上本は一瞬、立ち止まった。祈るようにライナーの落下地点に目を向けた。「感覚的にファウルかなと…」。白球は無事、左翼線のフェアゾーンに弾んだ。和田監督が興奮のあまり、一塁ベンチ前のラバーを両手でたたく。走者一掃の決勝3点二塁打。今季初の4連勝を決めた瞬間だった。

 「俊介がすごく必死で粘ってくれたというのは多少あったけど、いつも通り冷静に、と思っていました」

 1-1の7回裏2死一、三塁。ここで代打俊介が5球ファウルで耐え、10球目に四球を選んだ。広陵(広島)の1学年下にあたる後輩の粘り。心は熱く、体は冷静に応えた。2死満塁、1ボール。拳1個分バットを短く持ち、3番手秋吉の真ん中高めに浮いたスライダーをひっぱたいた。

 昨季は西岡負傷から二塁に定着。オフから2月沖縄キャンプにかけ、西岡との二塁バトルが注目の的となった。争いをあおる騒ぎには静観を決め込んだ。戦いは今に始まったことではない-。強い自負があった。

 「自分の中では今までも関本さんや平野さん、坂さんたちと、ずっと戦ってきたつもりなので」

 極限まで追い込まれた過去もある。西岡が不動の二塁手と予想されていた14年2月、キャンプイン前のこと。どう考えても厳しい情勢に、身の振り方を妄想したことさえあったという。

 「もう無理かも、と思って…。もし野球をやめたら自分は何ができるんだろう、コンビニのアルバイトとか自分にできるのかなって考えたこともありますよ」

 今では笑い話だが、当時は本気でどん底を見た。そして、自分には野球しかないんだと開き直った。だから強い。

 今季は不振のため、開幕12試合目で2番から7番に降格。4月10日には右足痛が明らかになり、全体練習を欠席。ここからはい上がった。右打ちを意識するあまり近くなっていたミートポイントを修正し、この日は伸び伸び引っ張った。

 今も右足かかとにはテーピングを施すが、1番昇格後の11試合は打率2割8分9厘。核弾頭の復調気配は何よりの朗報だ。

 「自分がブレーキになっていた部分があるので取り返したい。いろいろ厳しいことを言われますけど、シーズンは長い。1日1日、全力で戦っていきたい」

 選手会長のバットで借金を1まで減らし、明日2日から敵地で巨人2連戦。猛虎は間違いなく、上げ潮に乗った。【佐井陽介】

 ▼阪神が今季初の4連勝。14年8月17日DeNA戦(横浜)から21日中日戦(京セラドーム大阪)に4連勝して以来。同一カード3連戦3連勝は、今季の開幕カード3月27日~29日中日戦(京セラドーム大阪)以来で、甲子園に限ると14年4月18~20日ヤクルト戦以来。