仙台大が2季ぶり4度目の優勝を飾った。東北学院大を退けて2連勝。勝ち点5として、80年秋以来の完全Vを成し遂げた。先発投手の不調を、シーズン序盤から苦しんだ打線が最後にカバーした。仙台大は2年連続で全日本大学選手権(6月8日~、神宮ほか)に出場する。

 「熊原のチーム」とされた仙台大が最後に1つになった。1回表、4番大坂智哉(3年=青森山田)の先制打を皮切りに4点先制。その裏に先発右腕の馬場皐輔(2年=仙台育英)が3失点しても2、4回に1点を加え、9回に69季ぶり2度目の完全優勝を決定付ける3点を取った。シーズン序盤の低調を見返すように、12安打と先発投手の不調を補った。森本吉謙監督(40)がたたえた。「チーム全体で勝ち取った勝利」。

 4月の第2節東北大戦1、3回戦をドラフト上位候補のエース熊原健人(4年=柴田)が連続完封した。だが2回戦は打線の不調が響き、1点しか取れず取りこぼした。打率3割4分1厘を残した3番松本桃太郎(3年=北海)は「監督から、お前ら浮かれている。隙があるんじゃないか、と言われた」と明かした。そこから「みんなが見返してやりたい、という気持ちになった」と言う。打撃陣に「脱熊原頼み」への強い意識が芽生え始めた。

 今月の第5節東北福祉大1、3回戦は、ともに1-0。再びエースの快投に救われ、熊原頼みからの脱却はすぐにできなかった。それでも球速140キロ台に設定した打撃マシンを「ホームに2メートルほど近づけて」(大坂)、東北福祉大、東北学院大のプロ注目投手対策は怠らなかった。前日17日は熊原の不調を援護し、東北学院大のエース本田圭佑(4年=東北学院)を連日、打ち崩してみせた。

 東北大に1敗し、勝ち点を取れば優勝、落とせば勝率で劣るため優勝消滅と、東北学院大戦は白黒がはっきりとしていた。「ここで勝たないといけなかったので」と松本。3校プレーオフを制した昨春とは違う緊張感もプラスに働いた。

 打撃陣に光が差して、全日本大学選手権の出場権を手にした。松本は「熊原さんのチームというのを、いい意味で裏切りたい」と言った。総合力を高めた仙台大が、再び全国の舞台に立つ。【久野朗】

 ◆仙台大の全日本大学野球選手権 1回戦の相手は既に決まっており、開幕日の6月8日に九産大(福岡6大学)と東京ドーム(午前9時開始)で対戦する。勝てば2回戦で首都大学代表校と対戦する。初出場の昨年は2回戦から登場し、福岡大(九州6大学)を延長10回タイブレークで破り、全国1勝を挙げて8強入り。準々決勝で神奈川大(神奈川)に敗れた。