ランディに援護を-。阪神福留孝介外野手(38)が有言実行のV打だ。1回にしぶとく先制の右前タイムリー。試合前にメッセンジャーへの援護を野手陣に呼びかけたベテランが、自らのバットで勝利を呼び込んだ。61打点もチームトップ。勝負強いスラッガーが、虎投へ白星をプレゼントし、Vロードを切り開いていく。

 勝ったのは福留の執念だった。初回1死二塁で、モスコーソが投じた外角に沈むチェンジアップ。背番号8は体勢を崩されながらも捉えた。右前に弾む2試合連続の先制タイムリー。この試合に懸ける思いが詰まった一撃だった。

 福留 ずっとランディに申し訳ないことばかりしているんで、何とかして勝ちたいと率先して言った。その僕が打たなきゃ、格好悪いと思って頑張りました。

 試合前の円陣。ナインにメッセンジャー援護を呼びかけたのは、声出し係を務めた福留だった。この試合前まで、助っ人右腕の先発時の援護点は、藤浪、能見、岩田のローテ4本柱で1番少ない2・45点。防御率は3点台前半ながら、10敗させた責任を感じていた。いきなり巡って来た好機で、38歳の旗振り役が有言実行だ。

 福留 投手を少しでも楽に投げさせてあげるのが野手の仕事だからね。僕個人は良かったり悪かったりいろいろあるけど、みんな前を向いている。チームの状態は悪くないと思います。

 11日中日戦で痛めた右手中指は完全ではない。この日も軽い荒木の黒バットを借り、創意工夫の快音だった。5回2死満塁ではしっかり見極め、押し出し四球でリードを3点に拡大。メッセンジャー援護の2打点目で勝利を決定づけた。虎の将も大きくうなずいだ。

 和田監督 ランディの時に点が取れてないのは、みんな口にしていた。とにかく早く先に点を取る気持ちでやっていたんじゃないかな。(モスコーソから)数少ないヒットの中で、効果的な点の取り方ができた。

 福留 (東京から)嫌な感じで帰ってきたけど、これだけのお客さんの中で、いい後押しをもらってプレーできた。目の前の試合を1つ1つ取っていきたい。

 東京ドーム3連敗の悪夢を一掃した会心のDeNAスイープ。初回にタイムリーを打てば、今季6戦全勝の福留神話もできた。有言実行で士気を高める虎の3番が、10年ぶりのVロードを引っ張る。【松井清員】

 ▼今季メッセンジャー先発の試合での、チーム平均得点は2・48(23試合で57得点)。阪神の先発4本柱の、他の3投手の平均を出すと、藤浪4・29(21試合90点)、岩田3・43(21試合72点)、能見3・25(20試合65点)と、メッセンジャーが最低。これまで少ない援護に耐えてきたことが分かる。