勝ち続けるしかない。広島新井貴浩内野手(38)が25日、集中力を切らさずにバットを振った。台風接近により阪神戦が中止。今日26日に仕切り直しとなる一戦では、阪神能見攻略が勝利のカギとなる。今季4敗を喫する天敵を攻略するため、4番がバットでけん引する。

 雨音をかき消すような乾いた打球音が、室内練習場に響いた。台風接近による悪天候のため中止が決まっても、新井は厳しい表情のまま打撃投手の球を捉え、打撃感覚を確かめていた。

 「今日、やれるでしょ」

 朝から激しい雨が降り続けた。新井が球場入りした11時過ぎも一時雨は弱まったとはいえ、その後も降雨は予想されていた。それでも発表があるまで、集中力を切らさない、毅然(きぜん)とした態度だった。

 結局、首位阪神との戦いは仕切り直しとなった。「どこが相手でも関係ない。勝っていくしかない」。広島は借金5で4位。首位阪神とのゲーム差は6・5。今日26日にスライド登板する能見には、今季5度対戦し1勝4敗。対戦防御率1・69と苦手とする。対戦打率2割6分7厘、唯一の黒星をつける1発を見舞った新井は「まずは先制点を取って、主導権を取りたい」。攻略のカギを語る。阪神には11試合を残しており、大きく勝ち越せば望みをつなぐことができる。

 この日の中止によって、広島は9月18日から12連戦を戦わなければいけなくなった。今季7度目の中止に、緒方監督は「できることならやりたかった。後ろが詰まっているので、しんどくなる」と本音を漏らした。チームにとっては試練の長期連戦だが、苦しいときこそベテランの力が必要となる。

 「毎日が正念場だけど、そこからラストスパート。目いっぱいやっていきたい。ここまで来たら調子が良かろうが、悪かろうが、調子でやってはダメ。試合に出たら1試合1試合気持ちを込めてやっていくだけ。その積み重ね」

 まずは9月まで望みをつなげるため、今日26日からの2試合が大事になる。【前原淳】