広島が首位阪神との接戦を制し、7月5日以来の4連勝を飾った。昨季本塁打王のエルドレッドが先制決勝弾を放ち、エース前田が8回無失点で10勝目。試合終盤は緒方孝市監督(46)が勝負手を打って、試合を締めた。一時は7まで膨らんだ借金を3まで減らし、阪神に4・5ゲーム差、3位巨人には1・5ゲーム差に接近。まだまだ混戦のセ・リーグに食らいつくぞ。

 緒方監督は静かにベンチからグラウンドに踏み出し、選手交代を告げた。高ぶる感情を抑え、あくまで冷静に。首位阪神との息詰まる接戦にも、采配は最後までブレなかった。8回の好機で売り出し中の鈴木誠に代えて、松山を投入した。快音とともに手にした追加点が勝利を決定づけた。

 緒方監督 後半戦にこういう戦いができるようにやってきた。得点は2点しか取れなかったけど、十分相手を苦しめたし、意識ある打撃が見られた。

 エース前田が先発した試合。負けられない一戦だった。2回にエルドレッドのソロで先制した。しかし、思うように得点できない攻撃が続く。それでも先制弾直後。梵は1打席で10球ファウルを打ち、14球目を右前に運んだ。5回に三振を喫した石原も、追い込まれてから7球ファウルする執念を見せた。8回は2死から作ったチャンス。「勝負どころだから」と、指揮官は迷わず代打策に出た。

 2点差となった9回は中崎をマウンドに送った。2失点して1アウトしかとれずに降板した前日。1度ロッカーに戻りかけた中崎を緒方監督は監督室に呼んだ。そこで変わらぬ起用法と励ましの言葉を掛けた。

 中崎 昨日のようなことが続いてはいけない。切り替えることができた。修正した部分が出せたと思う。

 広島は4連勝で借金3。首位阪神に4・5ゲーム差。シーズン終盤のために、前半戦は若手を我慢して起用した時期もあった。ペナントレースは残り31試合。最終局面を迎えた。春季キャンプ中から勝負どきに見定めていた時期に入った。セットアッパーから抑えに転向した中崎のセーブ数は20個に達し、今季4番を経験した松山は右キラーとして存在感を放つ。前半戦にまいた種が、ようやく花を咲かせようとしている。緒方広島のシビれる戦いは、これからだ。【前原淳】