阪神が来季監督を要請した金本知憲氏(47)が次回交渉で返答する可能性があることが4日、分かった。金本氏はこの日、宮城・名取市での「日本PTA東北ブロック研究大会」で特別講演を行った。質疑応答では注目される監督問題について初めて公の場で発言し、胸中を語った。次回交渉は間近で、関係者によればこの日行われた可能性もあるという。決着は秒読み段階に入った。

 自力CS消滅という最終戦の結果を受けて阪神の監督問題が加速する。球団は1日に金本氏に来季監督就任を要請し、誠意を示した。金本氏はその場では返答しなかったが、関係者によれば、間近に迫った次回交渉で結論が出る可能性があるという。

 金本氏はくしくもこの日、宮城県名取市で講演を行っていた。参加者によれば、約1時間の講演後、約1800人の聴講者から最も聞きたい質問が飛んだという。次期タイガース監督就任について内緒で…。

 「全然内緒にならないでしょう!」。金本氏はまず会場の爆笑を誘った上で、こう答えたという。

 「そうですね、タイミングが合えば。タイミングさえ合えば」

 前向きとも取れる発言に会場からは拍手がわき起こったという。さらに司会者が、今後の野球との関わり方は…と、やんわり聞くとこう語ったという。

 「今、旬なことで言いますと、監督要請のことがあるんですけれど、まず『やってくれ』『はい、やります!』という簡単なものではないのでね。大変な重荷を背負うことになる。じっくり、じっくり考えたい」

 球団や、ファン、周囲の期待は感じつつも、慎重な決断が必要だという。そして、本音の部分も…。

 「本音は…まだゆっくりしたいです。ずっと野球漬けできて、体を酷使して、気持ちも傷ついたり、いろいろしても、引退を楽しみにやってきた。引退すればゴルフもできるし海外もいけるし、いくらでも酒も飲める。引退すれば引退すれば…っていうのが心の支えだった。今せっかくつかんだ夢なのでね(笑い)。だからこそゆっくりしたいのが本音。今、子供と接する時間を大切にしているので、それができなくなる。まあ、できなくなるってわけではないけれど…」

 21年間、厳しい練習で自分を追い込み、金字塔を打ち立て、やっと訪れた安息の日々。阪神監督という激務を引き受けるのに引っ掛かるのはその部分か…。

 ただ、本人の揺れる心とは裏腹に周囲の期待は高まるばかりだ。球団側の提示は近年の例から考えても3年を基本線にされたとみられるが、異例の5年契約となる可能性もあるという。関係者はコーチングスタッフなども含めた条件面のすり合わせが終われば結論が出るとの見方を示しており、金本氏が大阪に戻ったこの日、球団側と接触した可能性もあるという。今季最終戦も惨敗に終わった猛虎の改革を託す指揮官誕生へ-。決着は秒読み段階に入った。

<阪神の監督問題経過>

 ◆9月23日 巨人にサヨナラ負け。自力2位が消え、和田監督は退任危機に立つ。

 ◆24日 坂井オーナーと南球団社長が緊急会談。和田監督の進退は順位確定まで見守る方針を確認。

 ◆25日 広島に3-0で勝利するも、和田監督の退任が確実に。後任は球団OBを中心に選定される方針も判明。

 ◆26日 広島入りした南社長と和田監督が直接会談。

 ◆27日 広島に連敗し、優勝が消滅。和田監督は「全ての責任は私にある」。

 ◆28日 来季新監督をOBの金本知憲氏に要請するよう最終調整に入った。

 ◆30日 電鉄本社での坂井オーナーと南社長のトップ会談で金本氏に正式に監督要請することを決定。

 ◆10月1日 南球団社長が金本氏と交渉を持ち、監督就任を要請した。