サヨナラ負けの瞬間を目にしたロッテ伊東勤監督(53)は、しばしベンチで腕組みしたままだった。選手たちが引き揚げてくると、腕をほどき、ねぎらうように出迎えた。「しょうがない。再三、得点のチャンスがあったのに1点が取れなかった。選手は一生懸命やっている」と早口に言った後、「しょうがない」と繰り返した。

 3回に2点を取り合い、4回からは我慢の展開だった。4回、5回、7回、8回、9回と計5イニングで得点圏に走者を進めたが、1本が出ない。4回1死二、三塁では鈴木、田村が連続空振り三振。5回は1死満塁を作ったが、デスパイネ、クルーズが連続空振り三振。伊東監督は「チャンスでバットに当てられない。質の高い投手陣に三振でやられた」と脱帽した。

 もったいないミスもあった。8回1死二塁では、今江の三ゴロに二塁走者の荻野が三塁を狙って飛び出し。捕球した三塁松田にタッチされ、打者走者の今江もアウトで併殺となった。荻野の足なら、2死二塁でもワンヒットで生還できる可能性は十分あった。延長10回のサヨナラは、先頭上林への暴投が振り逃げとなったことから招いた。

 それでも、伊東監督は「誰も責めない」と個々の指摘は避けた。「悲観することはない。相手を苦しめた。1つ間違えば勝ちが来ていた」と、王者相手に延長まで互角に戦ったことを良しとした。もちろん、アドバンテージを考えれば、下位チームの初戦黒星は痛い。残り最大5試合。勝っていくしかない。【古川真弥】