ソフトバンクが、あす22日のドラフト会議で、県岐阜商の高橋純平投手(3年)を1位指名する方針であることが20日、分かった。即戦力よりも将来性のある選手の獲得を重視しており、高橋の潜在能力を高く評価。武田や千賀に続く、次世代のエース候補として、競合覚悟で指名する。

 ソフトバンクが競合覚悟で1位高橋の指名方針を固めた。今回のドラフトは即戦力よりも将来性を重視して、リストアップ作業を進めてきた。投打ともに充実した戦力で2年連続の日本シリーズ進出を果たした。緊急で補強するポジションはないが、先発ローテーションの編成は摂津や中田ら30代の投手が中心。武田や千賀ら若手の台頭はあるが、これに続くエース候補の獲得が最優先課題に挙がっている。

 高橋は左太ももを痛め、夏の大会では本領を発揮できなかった。しかし体力面や投球センスなど潜在能力はドラフト候補の中でもNO・1と位置づけた。工藤監督は就任1年目から育成に手腕を見せており、投手王国の形成に意欲を見せている。ファームの育成環境も整っており、鍛え上げれば、すぐに1軍で活躍する可能性は十分にある。昨年は盛岡大付・松本の一本釣りに成功したが、今回は競合のリスクを恐れずに高橋指名を敢行する。きょう21日には都内で球団首脳も出席し、スカウト会議を開く。ドラフト直前まで情報収集に励み、最終決定を下す方向だ。

 運命の糸をたぐり寄せるために工藤監督が「使者」になる。ドラフト会議に初めて出席する予定で、クジ引き役を務める方向だ。今回の指名方針に「1年間、スカウトの方がやってきた。球団のチーム作りもある。僕があれがいい、これがいい、と言う気はない」と球団に一任している。日本シリーズを直前に控え高橋指名の大役に専念することになる。

 グラウンドでは勝負師の顔を見せるが、抽選には意外にも弱気な言葉が出た。「クジ運は全くないよ。ビンゴもいつも最後の方だったし。見てきたスカウトが引いてくれたらいいんだけど…」。現役時代から験担ぎはしないため、今回も「普段着」で臨む。新人監督ではタイ記録となる90勝を挙げ、CSは全勝突破。ドラフトでも持ち前の勝負強さを発揮すれば、常勝軍団の基盤はさらに強固になる。

 ◆高橋純平(たかはし・じゅんぺい)1997年(平9)5月8日、岐阜市生まれ。小学2年から梅林スポーツ少年団で野球を始め、梅林中時代は揖斐本巣パワーボーイズに所属。県岐阜商で1年春からベンチ入り。今春センバツ1回戦の松商学園戦で150キロを2度マーク。今夏は左太もも肉離れの影響もあり甲子園出場を逃したが、U18W杯代表で活躍。最速は152キロ。183センチ、76キロ。右投げ右打ち。