秋田商の成田翔(3年)はロッテ3位指名に喜びを隠せなかった。

 午後6時30分過ぎ。「もう3巡目に入りましたか」。自主練習を終えて仲間たちと雑談していた成田が、待機していた報道陣に問いかけた直後だった。船山毅部長(42)からロッテ3巡目指名を告げられると、表情を崩して笑顔をはじけさせた。「指名されるまで不安でしたが、幼いころからの夢だったプロから高い評価を受けてうれしい」と話した。

 報告に向かった校長室では、鎌田勝校長に「ファンに愛される息の長い選手になってください」と激励された。仲間たちから8度胴上げされた成田は「真っすぐと縦のスライダーのコントロールを磨いて、100勝できる投手になりたい」と目標を掲げた。

 今夏、チームを80年ぶりの甲子園8強にけん引。龍谷(佐賀)戦で秋田県勢甲子園最多の16三振を奪い、“小さなドクターK”と呼ばれた。同じ左腕で、やはり小柄だった高校の大先輩、ヤクルト石川と比較され、「石川2世」と注目された。その石川と高校時代にバッテリーを組んでいた太田直監督(36)は「ほっとしました。縦じまのユニホーム姿を見るのも楽しみ」と監督就任後初のプロ選手誕生を喜んだ。

 ロッテ伊東監督は「将来が楽しみ。先発でも中継ぎでもいけると思うが、まずは先発で」と期待している。1位は今夏甲子園をともに沸かせた平沢。「イケメン高校生コンビ」が来季、パ・リーグを盛り上げる。成田は「同じチームで試合をした仲間なので心強い。早く上で活躍できる選手になりたい」と闘志を燃やした。【佐々木雄高】