首痛に耐えソフトバンクの4番、李大浩内野手(33)が3安打4打点で王手をかけた。今日29日の第5戦には肋骨(ろっこつ)骨折でシリーズを欠場している本来の4番内川も神宮にかけつける。李大浩は「今もいないとは思っていない。一緒に戦っている。早く来て見てほしい」と、合流を楽しみにした。

 痛みを感じさせない弾丸ライナーだった。1回1死一、二塁。強烈に引っ張った打球は飛び込んだ三塁川端のグラブをはじく先制の左前適時打。3回、無死満塁では遊撃手の頭を越える低いライナーで左中間を深々と破り、一塁走者柳田も一気に本塁へかえってきた。「遊撃手に捕られると思ったので、抜けてくれてよかった。満塁という最高の場面で、ああいうタイムリーが出て本当に良かった」と走者一掃の二塁打に両手を突き上げた。

 自分のバットで嫌な流れを断ち切った。前日27日の第3戦は投手陣が山田に3連発を浴びるなど、チームはポストシーズン初黒星。李大浩も、寝違えのような首の痛みを発症したため、3打席で自ら途中交代を申し出ていた。病院には行かず、何とか治そうと、はり治療、電気治療、マッサージと続け、痛み止めの薬を飲んだ。だが、第1打席の好機で三振した悔しさで、寝付けなかった。

 打撃は問題ないが、守る時に送球時などに痛みが出る。シーズン中なら大事をとってもおかしくない状態だった。「内川がいないというのが一番大きな理由。自分も抜けると打線が弱くなる」と、強い気持ちで強行出場。指名打者の使えない神宮で痛みをこらえ守備に就いた。2回には今宮の送球に体を目いっぱい伸ばして捕球。7回の打席では遊撃へのゴロで駆け抜け内野安打にするなど、全力プレーを続けた。「明日勝って、早く休みたい」。シリーズ開幕当日に戦列を離れた内川から責任感、使命感を引き継いだ李大浩が、これぞ4番の働きで連覇に王手をかけた。【石橋隆雄】

 ▼4番李大浩が先制打を含む3安打、4打点。今シリーズの李大浩は猛打賞が第1戦に次いで2度目となり、V打点も第2戦に次いで2度目。1シリーズで猛打賞とV打点の両方を2度以上記録したのは、66年柴田(巨人=猛打3度、V打2度)74年弘田(ロッテ=猛打2度、V打2度)10年今江(ロッテ=猛打2度、V打2度)に次いで4人目。4番では李大浩が初めてだ。李大浩は14年第3戦でも3安打。猛打賞を通算3度以上マークした外国人選手は与那嶺(巨人=通算4度)に次いで2人目になる。