韓国の大逆転劇の立役者は、日本を最も知る男だった。メジャー挑戦を表明しているソフトバンク李大浩内野手(33)が、1点を追う9回無死満塁から4番手増井のフォークを左翼線へライナーで運んだ。逆転の2点適時打だ。「フォークは考えていた。後輩があきらめず、やってみようとつないでくれた。開き直っていい結果になった」。今季4打数無安打だった増井を打ち崩し、一塁ベース上で大きく右腕を突き上げた。

 先発大谷に完全に封じ込められた。7回をわずか1安打無得点。二塁すら踏めず、8回も則本に3者凡退に封じられた。チャンスがまったくなかったことで、勝負強い打者が残っていた。3点を追う9回には、代打の呉載元、孫児葉の2人の左打者が好機をつくり、上位打線が応えて4得点の大逆転につながった。金寅植監督は「うれしい。最後まであきらめなければこういうこともある。9回最後が終わるまで誰も結果は分からない」と、6年ぶりの日本戦勝利の余韻に浸った。

 21日の決勝へコマを進めた。李大浩は「残り9イニング、ベストを尽くします」と、初代王者へ強い決意を口にした。【石橋隆雄】