マエケンがいじられた。ポスティング制度を利用しての米大リーグ移籍を目指す広島前田健太投手(27)が25日、CS放送の公開収録に登場。前日24日に移籍を直訴したばかりとあって、共演した中日平田、楽天則本からメジャー挑戦ネタで「いじり」を受けた。この日、都内で「NPB AWARDS 2015 supported by リポビタンD」が開催され、前田は最多勝、沢村賞、ベストナインを表彰された。

 かわす広島前田を、侍ジャパンのチームメート平田、則本が追い詰めていった。最終局面は観覧者からの質問コーナー。「プレミア12」で自己最速の157キロをマークした則本へ、球速に関する質問が飛んだ。流れで同様の質問が前田にも飛ぶ。

 前田 僕は1球ごとに球速を確認したい。自分の感覚と実際のスピードとの差を確かめたいので。変化球も見ます。どれくらい力を抜いたら何キロとかですね。

 前田の話を聞きながら、平田がニンマリしながら、則本に「質問しろ」とけしかけた。

 平田 マイルになったら分かりますか? とか。マイル計算できますか? って。勉強してますか? って。

 平田のエッジの効いたいじりに、前田も声を出して笑った。「(計算方法は)知らないです」「そう(必要に)なったら、勉強します」と答えて、また笑わせた。ちなみに、プレミア12準々決勝プエルトリコ戦での最速152キロは、マイル換算では94・4マイル。早ければ来季にもマイルが球速の単位となる可能性がある。

 平田とは高校時代から何度も勝負を重ねてきた。則本とは昨年の日米野球などでも交流を深め、今大会では食事にも連れて行った。同じ釜の飯を食った侍からの「愛のいじり」だった。

 前田は前日24日に広島球団と面談し、メジャー挑戦への思いを直訴したばかり。慎重に検討を重ねる球団の進展を見守る状況となった。観覧した約40人のファンに対しても「僕の意思を伝えました」と堂々と報告。ここでも則本が「(大会中は)僕らも聞きづらかった。無言の圧力があるんですよ。『触れるなよ』っていう」と胸をなで下ろすと、すかさず「すぐ触れてくるやん」と突っ込んだ。

 今季20打数5安打と封じ込めた平田からは「ようさんやられてる。はよ行ってくれへんかな。ちゃちゃっと行ってほしい」と移籍を“懇願”された。一方の則本は「もしメジャーに行かれたら(ヤンキース)田中さんとの投げ合いが見たいですね」と笑顔で言った。

 収録後の前田は、プロ野球の年間表彰式に臨み最多勝、沢村賞、ベストナインの表彰を受けた。「どの世界でも1番を目指すもの。野球はいろんな部門がある。どれか1つでもとりたい。その気持ちは(どこが舞台でも)変わらないと思います」。どんなときでも向上心は失わない。それがマエケンだ。【池本泰尚】