仙台育英からまた1人、プロ野球の世界に飛び込む。楽天公式チアリーダー「東北ゴールデンエンジェルス」の2016年メンバーオーディションが29日、仙台市内のイーグルスドームで行われた。応募総数82人から絞り込まれた34人がダンスや自己PRなどで審査され、21人が合格となった。初合格の仙台育英・今野花織(3年)はチアリーダー部で甲子園を経験。同校のロッテドラフト1位平沢大河内野手(17)のように、野球を通じて東北に元気を与えたいと意気込んだ。

 合格者として名前を呼ばれると、今野は感情が抑えきれなかった。輝くライトの当たるステージへと背筋を伸ばして歩く。憧れのゴールデンエンジェルスへの入団。壇上から降りると実感が湧き、ポロポロとうれし涙がこぼれた。「ずっと憧れていて、自分には受かる技術もないと思っていた。でも、どうしても入りたかった」と真っすぐな思いで念願の扉をこじ開けた。

 小学校6年からの夢だった。母親に勧められ、エンジェルスのチアリーディングスクールに入学。中学卒業までの3年半の間、技術を磨いた。受験でスクールはやめてしまったが、進学した仙台育英ではチアリーディング部に入部。「エンジェルスに入って東北や被災地に勇気を与えたい」と心はたぎっていた。

 野球に魅せられた。ロッテのドラフト1位平沢らと同級生で、甲子園での応援は3大会経験。今夏は決勝まで甲子園のアルプス席で声援を送り続けた。悲願に向けてチアの列の先頭に立ち、青と黄色のポンポンを振り続けた。「決勝が近づくにつれて、1球1球ごとに歓声が起きる。一瞬で盛り上がる」と準優勝に終わったが、ファンを熱狂させる野球の力に心が震えた。

 恩師とも再会を果たした。不動のセンターである上田亜樹はスクール時代の講師。「尊敬するのは亜樹先生。覚えていてくれました」と力になった。上田も「ここで出会えるなんてうれしい。教えた子がトップチームのメンバーになるのは夢でもある」と喜んだ。

 今後は東北学院大を受験予定で、学生とエンジェルスの二足のわらじを履くつもりだ。「スポーツの素晴らしさを伝えたい。フィールドでお客さまと一緒に盛り上げたい」と笑みがこぼれた。楽天の日本一へ、ファンとともに夢をつむいでいく。【島根純】