ロッテ涌井秀章(29)を分析。

 涌井が15勝を挙げ、大谷(日本ハム)と最多勝を分け合った。涌井の最多勝は西武時代の09年以来3度目となり、2球団で最多勝を獲得したのは08年のグライシンガー(巨人)と岩隈(楽天)以来7人目だ。

 涌井は14年にFAでロッテへ移籍。FAで国内球団へ移籍した投手は27人(28度=工藤が2度)いるが、成功した投手は意外と少ない。移籍先の球団で未勝利が4人、通算1勝も4人いる。通算20勝以上が6人しかおらず、これまでタイトルを獲得したのは工藤(ダイエー・巨人)河野(巨人)杉内(巨人)の3人だけ。FA移籍した球団で最多勝は涌井が初めてだ。

 6年ぶりの最多勝だった。最多勝のブランクとしては、49年スタルヒン(大映)の9年ぶり、77年鈴木啓(近鉄)と83年東尾(西武)の8年ぶりに次いで長い。6年ぶりだけでも珍しいのに、涌井は途中で抑えに転向し12年には30セーブを記録。最多勝獲得後に30セーブは83年江夏(日本ハム=68、73年最多勝)07年上原(巨人=99、02年最多勝)12年涌井と3人いるものの、30セーブ記録後に最多勝を獲得したケースは初めてだ。

 ソフトバンク戦で5勝を挙げた。カード別では最も多く、15勝のうち1/3を優勝チームから稼いだ。今季のソフトバンクは勝率6割4分7厘をマークしたチームで、ソフトバンクから3勝以上は涌井、東明(オリックス)3勝、鍵谷(日本ハム)3勝の3人だけ。大谷は1勝2敗と負け越している。同一リーグの優勝チームから5勝以上を挙げた最多勝投手は02年ホッジス(ヤクルト)以来、13年ぶり。優勝チームから全勝利の1/3以上を記録して最多勝は、14勝のうちダイエーから5勝した00年松坂(西武)以来だった。【伊藤友一】